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糖尿病や高血圧の発症リスク 睡眠不足でも寝過ぎでも高まる

「睡眠不足では死なない」といわれている。しかし、1979年のスリーマイル島原子力発電所事故や1986年のスペースシャトルチャレンジャー爆発などの大事故は、睡眠不足による眠気が判断力の低下を招き、それが原因だった可能性が報告された。

 さらに睡眠不足が注目されたのは、1980年代に指摘された睡眠時無呼吸症候群の存在だ。アメリカの長距離トラックの肥満気味のドライバーに、居眠り事故が多発した。その原因が、この病気によって誘発された眠気だったため、その後、睡眠と心身の健康への関係と影響に関する調査研究が行なわれるようになった。日本大学医学部付属板橋病院精神神経科の内山真主任教授に話を聞いた。

「シカゴ大学が、健康な人を対象に1日4時間睡眠を6日間続けることの影響を調べた結果、糖を与えた時の血糖値のコントロールが悪くなり、血糖値が上がることが判明しました。また、6.5~7.5時間寝ている人は、糖尿病や高血圧の発症が少ないのに、睡眠時間6時間を切っている人と、8時間以上寝ている人は、発症リスクが高くなります」

 まったく病気がなく健康な人の睡眠時間は、15歳で8時間、25歳で7時間、45歳で6.5時間、65歳で6時間という調査結果だった。短くも長くもない適切な睡眠が健康によいということがわかる。

「睡眠は身体への影響だけでなく、うつ病との関係を示すデータもあります。大学卒業後、10年以内に不眠になった人は、30年後までにうつ病になる率が、そうでない人に比べ3倍になります。うつ病の初期症状は不眠といわれますが、不眠自体がうつの初期症状であると同時に、もともと不眠になりやすい神経質で几帳面な性格によって、うつ病を発症するのかもしれません」(内山主任教授)

(取材・構成/岩城レイ子)

※週刊ポスト2014年11月14日号

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