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【ドル円週間見通し】円安抑制の円買い介入に合理性はあるか

 投資情報会社・フィスコ(担当・小瀬正毅氏)が、11月10日~11月14日のドル・円相場の見通しを解説する。

 * * *
 今週のドル・円は、15-16日に開催されるG-20財務相会議で、巨大銀行の自己資本比率の増額の必要性が確認されることが予想されるため、ドルは強含みに推移する展開が予想される。

 リスク要因は、G-20財務相会議での円安に対する牽制、イスラム国を空爆している有志連合国でのテロの可能性、エボラ出血熱の感染拡大懸念、地政学的リスク(ウクライナ情勢、中東情勢)の緊迫化などが想定される。ただし、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)による外貨建て資産への投資増額(23%⇒40%)から、ドルの下値は限定的だと予想される。

【G-20財務相会議】(15-16日)
 カーニー金融安定理事会(FSB)議長が、10月のG-20財務相・中央銀行総裁会議で、国際的に重要な巨大銀行18行に対して、自己資本比率の増額、保有資産のリスク評価の厳格化を要請している。G-20財務相会議でも、自己資本比率の増額が再確認されると予想され、ドル買い圧力を強めることになる。

 一方で、日本銀行の追加緩和を受けた円全面安の展開に対して、「近隣窮乏化政策」との観点から批判が高まることが予想される。G-20財務相会議で、円安牽制圧力が強まった場合、財務省・日本銀行によるスムージング・オペとしての円買い介入の可能性に警戒することになる。

【円買い介入の合理性】
 日本の外貨準備高(外為特会)は、約1.2兆ドルだが、持ち値は、約111円60銭付近となっている。黒田東彦日銀総裁は、財務官時代に約14兆円の円売り介入を実施したが、持ち値は、約113円80銭となっている。財務省・日本銀行によるドル売り・円買い介入は、含み損を抱えた状態から収益が出る状態に変わったこと、GPIFが外貨建て投資に乗り出すまでは円安を抑制した方が年金の収益に寄与することなどから、経済合理的だと思われる。

 11月10日-14日に発表予定の主要経済指標のポイントは次の通り。

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