もっとも独立運動が蠢くのはスペインだ。高度な自治が与えられているカタルーニャ州、バスク州、ガリシア州、アンダルシア州は各々が一つの国だと思っており、国家を維持できていることのほうが不思議なくらいである。
なかでもカタルーニャ州は州政府が独立の是非を問う住民投票を11月に実施すると約束していたが、スペイン憲法裁判所が住民投票に反対しているスペイン政府の提訴を受理して投票差し止めを命じたため、住民投票は見送られた。
これらの例を見れば、「国家」というものが、いかに移ろいやすく、刹那的かがわかるだろう。いちおう国際法上は「国民」「領土」「主権」の三要素を満たせば、国家として認められることになっているが、実際は「他国からの承認」が第四の要素になっている。
そして、その場合の「他国」とは、国連安全保障理事会で拒否権を持っている安保理常任理事国のアメリカ、イギリス、フランス、中国、ロシアの5か国であり、事実上「欧米(アメリカ、イギリス、フランス)が認め、中国とロシアが反対しないこと」が、国家として認められる第四の要素になっている、と私は考える。
※SAPIO2014年12月号