国際情報

ハワイで独立運動の兆し 観光収入や軍の使用料で自立の機運

 ウクライナ問題、イスラム国、香港デモ。世界の地殻変動の底流にあるのは、「国家とは何か?」という問いにほかならない。国家の定義を揺るがせたスコットランドの独立投票こそ否決に終わったが、その流れは今後強まると、大前研一氏は予想する。

 * * *
 スコットランドがあのような民主的アプローチで住民投票を何の混乱もなく粛々と実施できた事実が、さすが紳士の国イギリス、と感心したものだ。一方、その後遺症で世界各地の独立運動が勢いづくのは間違いない。

 実際、中国では北京政府が相当過敏になっており、スコットランドの住民投票に関する報道はタブーだった。香港の行政長官選挙制度改革を巡る民主派のデモや、新疆ウイグル自治区、内モンゴル自治区、チベット自治区の独立運動に影響を与えるのは必至だからである。

 意外なところではハワイが独立運動に目覚め出している。もともと独立した王国だったのに力ずくでアメリカに併合された、という思いが一部の住民には強いので、再び独立国になって観光収入やアメリカ太平洋艦隊の司令部がある真珠湾の使用料などで自立していこう、という機運が盛り上がっているのだ。

 世界で最も独立運動の火種をそこかしこに抱えているのはヨーロッパである。たとえば、デンマークでは本土から遠く離れた北大西洋のフェロー諸島、さらに北方のグリーンランドが独立気運を高めている。フェロー諸島は隣にあるアイスランドが独立国なのだから自分たちも、と意気込む。世界最大の島であるグリーンランドは、デンマークではなく海峡を隔てた対岸のカナダやアメリカと付き合って生きていきたいと考えている。

 また、イタリアでは工業化が進んでいる裕福な北部のロンバルディア州、ヴェネト州、ピエモンテ州、エミリア=ロマーニャ州などで独立の声が絶えない。農業が中心で貧しい南部を切り離せ、それができないなら自分たちが出ていく、と昔から主張している。その動きはEUができて少し沈静化していたが、スコットランドに刺激を受けて再燃しつつある。

関連キーワード

関連記事

トピックス

公金還流疑惑がさらに発覚(藤田文武・日本維新の会共同代表/時事通信フォト)
《新たな公金還流疑惑》「維新の会」大阪市議のデザイン会社に藤田文武・共同代表ら議員が総額984万円発注 藤田氏側は「適法だが今後は発注しない」と回答
週刊ポスト
“反日暴言ネット投稿”で注目を集める中国駐大阪総領事
「汚い首は斬ってやる」発言の中国総領事のSNS暴言癖 かつては民主化運動にも参加したリベラル派が40代でタカ派の戦狼外交官に転向 “柔軟な外交官”の評判も
週刊ポスト
立花孝志容疑者(左)と斎藤元彦・兵庫県知事(写真/共同通信社)
【N党党首・立花孝志容疑者が逮捕】斎藤元彦・兵庫県知事“2馬力選挙”の責任の行方は? PR会社は嫌疑不十分で不起訴 「県議会が追及に動くのは難しい」の見方も
週刊ポスト
黒島結菜(事務所HPより)
《いまだ続く朝ドラの影響》黒島結菜、3年ぶりドラマ復帰 苦境に立たされる今、求められる『ちむどんどん』のイメージ払拭と演技の課題 
NEWSポストセブン
公職上の不正行為および別の刑務所へ非合法の薬物を持ち込んだ罪で有罪評決を受けたイザベル・デール被告(23)(Facebookより)
「私だけを欲しがってるの知ってる」「ammaazzzeeeingggggg」英・囚人2名と“コッソリ関係”した美人刑務官(23)が有罪、監獄で繰り広げられた“愛憎劇”【全英がザワついた事件に決着】
NEWSポストセブン
NHK大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』の打ち上げに参加したベッキー
《ザックリ背面ジッパーつきドレス着用》ベッキー、大河ドラマの打ち上げに際立つ服装で参加して関係者と話し込む「充実した日々」
NEWSポストセブン
三田寛子(時事通信フォト)
「あの嫁は何なんだ」「坊っちゃんが可哀想」三田寛子が過ごした苦労続きの新婚時代…新妻・能條愛未を“全力サポート”する理由
NEWSポストセブン
大相撲九州場所
九州場所「17年連続15日皆勤」の溜席の博多美人はなぜ通い続けられるのか 身支度は大変だが「江戸時代にタイムトリップしているような気持ちになれる」と語る
NEWSポストセブン
一般女性との不倫が報じられた中村芝翫
《芝翫と愛人の半同棲にモヤモヤ》中村橋之助、婚約発表のウラで周囲に相談していた「父の不倫状況」…関係者が明かした「現在」とは
NEWSポストセブン
山本由伸選手とモデルのNiki(共同通信/Instagramより)
《噂のパートナーNiki》この1年で変化していた山本由伸との“関係性”「今年は球場で彼女の姿を見なかった」プライバシー警戒を強めるきっかけになった出来事
NEWSポストセブン
デコピンを抱えて試合を観戦する真美子さん(時事通信フォト)
《真美子さんが“晴れ舞台”に選んだハイブラワンピ》大谷翔平、MVP受賞を見届けた“TPOわきまえファッション”【デコピンコーデが話題】
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 高市首相「12.26靖国電撃参拝」極秘プランほか
「週刊ポスト」本日発売! 高市首相「12.26靖国電撃参拝」極秘プランほか
NEWSポストセブン