芸能

「スター」貫いた高倉健さん 知らない人の前で食事しなかった

 俳優の高倉健さんが11月10日、悪性リンパ腫で亡くなった。83才だった。1931年、福岡県に生まれた健さん。1955年、東映に第2期ニューフェイスとして入社。1956年に『電光空手打ち』で銀幕デビューを果たすが、スターとしての地位を確立したのは1960年代に入ってからの遅咲きだった。

「デビュー前、健さんは6か月に及ぶ厳しいレッスンを受けているんですが、当時は教官から“他の人の邪魔になるから見学していてください”と言われるほど、“落ちこぼれ”だったそうです」(当時を知る映画関係者)

 そんな健さんを不動のスターへと引き上げたのは、『網走番外地シリーズ』『日本侠客伝シリーズ』などの任侠映画での活躍だった。

「当時の70年安保をめぐる混乱という社会情勢を背景に、“不条理な仕打ちに耐え、ついには復讐を果たす着流しのアウトロー”である主人公を演じ、男性から熱狂的な支持を集めたんです」(前出・映画関係者)

 その後、独立すると『君よ憤怒の河を渉れ』で主演を果たし、10年以上出演を続けた任侠映画のイメージから脱却。そして1977年には『八甲田山』、『幸福の黄色いハンカチ』の2作品で主演を務め、第1回日本アカデミー賞最優秀主演男優賞と第20回ブルーリボン賞主演男優賞のダブル受賞の快挙を果たし、一気に国民的俳優へと上り詰める。

 役者としてスポットライトを浴び続ける一方で、健さんは私生活を曝すことを極端に嫌がった。“役者は夢を売る商売だ”という考えが強く、私生活もスターとしての自覚を持って過ごしていた。

「休日でもイメージを守るため、外出時は基本的にスーツ姿だったそうです。いつ写真を撮られてもいいようにと、かつては毎日、散髪もしていたんです。年を重ねてからも太らないようにとスポーツジムに通って体形維持に努めていました。70才を超えてからも50~60kgのバーベルを上げていたそうですから、相当、ストイックなトレーニングを続けていたんだと思いますよ」(別の映画関係者)

 自宅近くでは、こんな声も聞こえてくる。

「よく出前を取るお蕎麦屋さんがあるんですけど、そこの大将が健さんに“今度はお店に食べに来てくださいよ”と言ったところ、“役者は知らない人の前で食事はできないんだよ。申し訳ない”と謝ったそうです。それほどプライベートを徹底的に管理していた」(地元の住民)

※女性セブン2014年12月4日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

“令和の小泉劇場”が始まった
小泉進次郎農相、父・純一郎氏の郵政民営化を彷彿とさせる手腕 農水族や農協という抵抗勢力と対立しながら国民にアピール、石破内閣のコメ無策を批判していた野党を蚊帳の外に
週刊ポスト
緻密な計画で爆弾を郵送、
《結婚から5日後の惨劇》元校長が“結婚祝い”に爆弾を郵送し新郎が死亡 仰天の動機は「校長の座を奪われたことへの恨み」 インドで起きた凶悪事件で判決
NEWSポストセブン
6月2日、新たに殺人と殺人未遂容疑がかけられた八田與一容疑者(28)
《別府ひき逃げ》重要指名手配犯・八田與一容疑者の親族が“沈黙の10秒間”の後に語ったこと…死亡した大学生の親は「私たちの戦いは終わりません」とコメント
NEWSポストセブン
「最後のインタビュー」に応じた西内まりや(時事通信)
【独占インタビュー】西内まりや(31)が語った“電撃引退の理由”と“事務所退所の真相”「この仕事をしてきてよかったと、最後に思えました」
NEWSポストセブン
伊勢ヶ濱部屋に転籍した元白鵬・宮城野親方
【元横綱・白鵬が退職後に目指す世界戦略】「ドラフト会議がない新弟子スカウト」で築いたパイプを活かす構想か 大の里、伯桜鵬、尊富士も出場経験ある「白鵬杯」の行方は
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問される佳子さま(2025年6月4日、撮影/JMPA)
《ブラジルへ公式訪問》佳子さま、ギリシャ訪問でもお召しになったコーラルピンクのスーツで出発 “お気に入り”はすっきり見せるフェミニンな一着
NEWSポストセブン
「日本人ポップスターとの子供がいる」との報道もあったイーロン・マスク氏(時事通信フォト)
イーロン・マスク氏に「日本人ポップスターとの子供がいる」報道も相手が公表しない理由 “口止め料”として「巨額の養育費が支払われている」との情報も
週刊ポスト
中居の女性トラブルで窮地に追いやられているフジテレビ(右・時事通信フォト)
《会社の暗部が暴露される…》フジテレビが恐れる処分された編成幹部B氏の“暴走” 「法廷での言葉」にも懸念
NEWSポストセブン
渡邊渚さんが性暴力問題について思いの丈を綴った(撮影/西條彰仁)
《渡邊渚さん独占手記》性暴力問題について思いの丈を綴る「被害者は永遠に救われることのない地獄を彷徨い続ける」
週刊ポスト
 6月3日に亡くなった「ミスタープロ野球」こと長嶋茂雄さん(時事通信フォト)
【追悼・長嶋茂雄さん】交際40日で婚約の“超スピード婚”も「ミスターらしい」 多くの国民が支持した「日本人が憧れる家族像」としての長嶋家 
女性セブン
母・佳代さんと小室圭さん
《眞子さん出産》“一卵性母子”と呼ばれた小室圭さんの母・佳代さんが「初孫を抱く日」 知人は「ふたりは一定の距離を保って接している」
NEWSポストセブン
違法薬物を所持したとして不動産投資会社「レーサム」の創業者で元会長の田中剛容疑者と職業不詳・奥本美穂容疑者(32)が逮捕された(左・Instagramより)
《レーサム創業者が“薬物付け性パーティー”で逮捕》沈黙を破った奥本美穂容疑者が〈今世終了港区BBA〉〈留置所最高〉自虐ネタでインフルエンサー化
NEWSポストセブン