国内

安田浩一氏 幸福の科学にネトウヨとの近すぎる距離を質す

 今回の解散総選挙に一際意気込むのが幸福の科学を母体とする幸福実現党だ。過去の衆院選では、大量の候補者を擁立するなど(2009年は337選挙区、2012年は62選挙区。いずれも当選者なし)、政治活動に力を注いできた同教団。しかし昨今の彼らの主張は、極右的な色彩を帯びているとの指摘も多い。ジャーナリスト・安田浩一氏が、同教団の幹部と対峙した。

 * * *
“公称”信者数だけを見れば、幸福の科学は日本最大の宗教団体だ。その数、実に1100万人。本当なのかと何度も念押しして訊ねたが、同教団の里村英一専務理事は顔色一つ変えることなく、「ええ、その通り」と胸を張る。

「うちの会員になりますと“正心法語”と呼ばれる経典をお配りしているわけです。その発行部数がこれまでに1100万部」

 こちらが訝しむひまを与えない。かつては大手民放の宣伝部に籍を置いていたという里村氏は、情熱的で、自信に満ちて、饒舌だった。

 だからこそ、あの世の霊魂とチャネリングすることで得られるという「霊言」に話題が及んでも、ポカンと口を開けたまま聞くしかない私を前にして、それこそソクラテスが、マルクスが、キムタクが、昭和天皇がと“各人”のエピソードを交えて熱っぽく語る。

 幸福の科学は1986年、商社マンだった大川隆法氏によって設立された。初期の活動として知られているのは、信者で作家の故・景山民夫氏を筆頭に展開した激しいマスコミ批判である。写真週刊誌『フライデー』に掲載された教団批判記事への抗議をはじめ、週刊誌業界のヘアヌード掲載に反対するデモなどを各地で展開し、知名度を高めた。

 そしていま、幸福の科学はこれまでとは違った文脈で存在感を増しつつある。政党・幸福実現党を牽引車とした、急激な右旋回のことだ。

 ある古参の保守系運動家は「ここ2、3年、同党関係者の姿を多くのデモや街宣で見かけるようになった」と話す。

「特に慰安婦問題や領土問題などで中韓を批判するようなデモには、多くの党員が参加しています。同党発行のビラやパンフレットを参加者に配布することもあるので、すぐにわかりますよ」

 11月に行われた沖縄県知事選に関しても、幸福実現党の“暗躍”が話題となった。

「自民党などが推していた仲井真弘多陣営の別働隊として幸福実現党員が、対立候補である翁長陣営を批判するビラを配布していました」(知事選を取材した地元記者)

 ビラは「反共」や「中国の脅威」を煽る内容で、仲井真陣営も半ば容認していたという。こうした手法、あるいは嫌韓を主題とした“日の丸デモ”への関与といったことから、いわゆるネトウヨとの親和性の高さを指摘されているのが昨今の幸福実現党である。

関連キーワード

トピックス

お笑いトリオ「ジャングルポケット」の元メンバー・斉藤慎二。9ヶ月ぶりにメディアに口を開いた
【休養前よりも太ってしまった】元ジャンポケ斉藤慎二を独占直撃「自分と関わるとマイナスになる…」「休みが長かった」など本音を吐露
NEWSポストセブン
約40年、地元で愛された店がラーメンをやめる(写真提供/イメージマート)
《SNS投稿やグルメサイトの弊害》あっという間に人気飲食店になったことを嘆く店の人たち 問い合わせが殺到した中華料理店は電話を撤去、行列ができたラーメン店は閉店を決めた 
NEWSポストセブン
TOKIOの国分太一(右/時事通信フォトより)
《TOKIO解散後の生活》国分太一「後輩と割り勘」「レシート一枚から保管」の節約志向 活動休止後も安泰の“5億円豪邸”
NEWSポストセブン
大谷翔平の新投球スタイルを分析(Getty Images)
《二刀流復活》進化する“投手・大谷翔平” 「ノーワインドアップ」と「シンカーボーラーへの移行」の新スタイルを分析
週刊ポスト
中山美穂さんをスカウトした所属事務所「ビッグアップル」創設社長の山中則男氏が思いを綴る
《中山美穂さん14歳時の「スケジュール帳」を発見》“芸能界の父”が激白 一夜にしてトップアイドルとなった「1985年の手帳」に直筆で記された家族メモ
NEWSポストセブン
結婚式は6月26日に始まり3日間行われた(時事通信フォト)
《総額72億円》Amazon創始者ジェフ・ベゾス氏の豪華結婚式、開催地ベネチア住人は「億万長者の遊び場に…」と反発も「朝食17万円、プライベートジェット100機貸し切り」で市長は歓迎
NEWSポストセブン
藤川監督(左)の直訴を金田氏(右)が存命であればどう評したか
阪神・藤川球児監督の「練習着にハーフパンツ着用」直訴で思い出される400勝投手・金田正一さんの言葉「大投手になりたければふくらはぎを冷やしたらアカン」
NEWSポストセブン
「札幌のギャグ男」公式インスタグラムより
《特別支援学級編入を決断した当事者の声》「小3の知能で止まっている」と宣告された中学1年生が抱えた“複雑な思い”「母さんを楽にしてやれるって思ったんだ」
NEWSポストセブン
STARTO ENTERTAINMENTの取締役CMOを退任することがわかった井ノ原快彦
《STARTO社取締役を退任》井ノ原快彦、国分太一の“コンプラ違反”に悲しみ…ジャニー喜多川氏の「家族葬」では一緒に司会
NEWSポストセブン
仲睦まじげにラブホテルへ入っていく鹿田松男・大阪府議(左)と女性
石破“側近”大阪府連幹部の府議、本会議前に“軽自動車で45分ラブホ不倫” 直撃には「知らん」「僕と違う」の一点張り
週刊ポスト
国民民主党から公認を取り消された山尾志桜里氏の去就が注目されている(時事通信フォト)
「国政に再挑戦する意志に変わりはございません」山尾志桜里氏が国民民主と“怒りの完全決別”《榛葉幹事長からの政策顧問就任打診は「お断り申し上げました」》
NEWSポストセブン
中居正広氏と被害女性の関係性を理解するうえで重大な“証拠”を独占入手
【スクープ入手】中居正広氏と被害女性との“事案後のメール”公開 中居氏の「嫌な思いをさせちゃったね。ごめんなさい」の返事が明らかに
週刊ポスト