ビジネス

マグロ養殖に志願者日本一 近大にビジネスのヒント多数あり

近大マグロ使ったカップラーメンが人気

 作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏にとって、「近大」の取材は驚きの連続だったという。今、最も勢いのある大学のひとつとされるのはなぜなのか。

 * * *
 あの「近大マグロ」を気軽に食べることができる時が、いよいよ到来した? 12月1日、即席カップ麺「近畿大学水産研究所監修 近大マグロ使用 中骨だしの塩ラーメン」がコンビニやスーパーで発売されたとたん、人気に火がついた。

「150万食の販売が目標でしたが、この勢いだと年内に売れ切れてしまうかもしれません」と担当者は慌て気味。「近大マグロ」への関心の高さからなのか。

 ご存じ、「近大マグロ」とは近畿大学が世界で初めて完全養殖に成功したクロマグロ。その「近大マグロ」を提供しているのが、料理店「近畿大学水産研究所」(大阪と東京の二店舗)。連日行列ができてランチはたちまち売れ切れ、夜の予約は1か月先まで埋まっている。つまり、「近大マグロ」に興味はあっても、そうそう簡単には食べられない状態なのだった。

 今回のカップ麺が、「一度は味わってみたい」という多くの人々の好奇心に「刺さった」、ということかもしれない。

 それにしてもなぜ、「近大マグロ」がカップ麺になったのか。「近大マグロ」は希少価値が高いから皮も身もすべて料理に使う。しかし、骨だけは廃棄せざるをえなかった。「惜しい」と考えた近大水産研究所。エースコックに再利用の検討を要請し、今回の商品化が実現したという。

 中骨からエキスを抽出してカップ麺に活用することで、「捨てることなく全てを食べ切ることができ資源利用・保護にもつながります」。利に適ったコラボ。「長い時間をかけた研究成果の近大マグロを、手軽に味わっていただきたい」と関係者は意気込む。

 さて、そのお味は? クロマグロの中骨を炊き出した塩味のスープ。さっぱりしているわりに、奥行きのある旨みとコク。食べ終わるとふと、カップ麺のフタの裏側に目がいく。「卒業証書」とある。

「あなたは近畿大学の水産研究所養殖過程を優秀な成績で卒業され、お客さまの舌を唸らせる近大マグロエキスに加工されたことをここに証します」

「近大マグロ」の証としての卒業証書だ。シャレが効いている。

 実は、近大から生まれ出たマグロの「異種」は、カップ麺だけではない。一冊の書籍『なぜ関西のローカル大学「近大」が、志願者数日本一になったのか』(光文社)。ひょんなことから、この私自身が取材し執筆することになった。

 正直に言って、東京生まれ東京育ちの私にとって「近大」なんてほとんど知らない大学、遠い存在だった。国立大学か私立かすら、判別がつかなかった。

 ある日、小学館の月刊誌『SAPIO』で連載中の「ヒット商品は主張する」において、「近大マグロ」を取り上げることに。取材のために、近大マグロを育てている和歌山県串本町の研究所へ足を運んだ。海上に浮かぶ巨大なマグロの生簀(いけす)。苦節32年、血の滲む努力の結果、「困難」とされてきたクロマグロの養殖技術を確立した、その現場を取材した。 

 取材の中で、私は初めてもう一つの事実を知ることになる。近大の入試志願者数が「日本一」だという、びっくりするようなことを。

トピックス

大谷の「二刀流登板日」に私服で観戦した真美子さん(共同通信)
「私服姿の真美子さんが駆けつけて…」大谷翔平が妻を招いた「二刀流登板日」、インタビューに「今がキャリアの頂上」と語った“覚悟と焦燥”
NEWSポストセブン
女優の趣里とBE:FIRSTのメンバーRYOKIが結婚を発表した(左・Instagramより)
《お腹にそっと手を当てて》ひとり娘の趣里は区役所を訪れ…背中を押す水谷豊・伊藤蘭、育んできた3人家族の「絆」
NEWSポストセブン
過去にも”ストーカー殺人未遂”で逮捕されていた谷本将志容疑者(35)。判決文にはその衝撃の犯行内容が記されていた(共同通信)
《前科は懲役2年6か月執行猶予5年》「ストーカーだけでなく盗撮も…」「5回オートロックすり抜け」公判でも“相当悪質”と指摘された谷本将志容疑者の“首締め告白事件”の内幕
NEWSポストセブン
硬式野球部監督の退任が発表された広陵高校・中井哲之氏
【広陵野球部・暴力問題で被害者父が告白】中井監督の退任後も「学校から連絡なし」…ほとぼり冷めたら復帰する可能性も 学校側は「警察の捜査に誠実に対応中」と回答
NEWSポストセブン
隆盛する女性用ファンタジーマッサージの配信番組が企画されていたという(左はイメージ、右は東京秘密基地HPより)
グローバル動画配信サービスが「女性用ファンタジーマッサージ店」と進めていた「男性セラピストのオーディション番組」、出演した20代女性が語った“撮影現場”「有名女性タレントがマッサージを受け、男性の施術を評価して…」
NEWSポストセブン
海外SNSで大流行している“ニッキー・チャレンジ”(Instagramより)
【ピンヒールで危険な姿勢に…】海外SNSで大流行“ニッキー・チャレンジ”、生後2週間の赤ちゃんを巻き込んだインフルエンサーの動画に非難殺到
NEWSポストセブン
〈# まったく甘味のない10年〉〈# 送迎BBA〉加藤ローサの“ワンオペ育児”中もアップされ続けた元夫・松井大輔の“イケイケインスタ”
〈# まったく甘味のない10年〉〈# 送迎BBA〉加藤ローサの“ワンオペ育児”中もアップされ続けた元夫・松井大輔の“イケイケインスタ”
NEWSポストセブン
Benjamin パクチー(Xより)
「鎌倉でぷりぷりたんす」観光名所で胸部を露出するアイドルのSNSが物議…運営は「ファッションの認識」と説明、鎌倉市は「周囲へのご配慮をお願いいたします」
NEWSポストセブン
逮捕された谷本容疑者と、事件直前の無断欠勤の証拠メッセージ(左・共同通信)
「(首絞め前科の)言いワケも『そんなことしてない』って…」“神戸市つきまとい刺殺”谷本将志容疑者の“ナゾの虚言グセ”《11年間勤めた会社の社長が証言》
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサーであるボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
“タダで行為できます”の海外インフルエンサー女性(26)が男性と「複数で絡み合って」…テレビ番組で過激シーン放送で物議《英・公共放送が制作》
NEWSポストセブン
谷本容疑者の勤務先の社長(右・共同通信)
「面接で『(前科は)ありません』と……」「“虚偽の履歴書”だった」谷本将志容疑者の勤務先社長の怒り「夏季休暇後に連絡が取れなくなっていた」【神戸・24歳女性刺殺事件】
NEWSポストセブン
野生のヒグマの恐怖を対峙したハンターが語った(左の写真はサンプルです)
「奴らは6発撃っても死なない」「猟犬もビクビクと震え上がった」クレームを入れる人が知らない“北海道のヒグマの恐ろしさ”《対峙したハンターが語る熊恐怖体験》
NEWSポストセブン