ルーヴル美術館での世紀の強奪事件は瞬く間に世界を駆け巡った(Facebook、HPより)
パリの朝の光がまだ柔らかく街を包んでいた10月20日の午前9時半。世界最大級の美術館ルーヴルが静かに開館し、職員や観光客がゆっくりと動き出したそのとき、場内の静寂を破ったのは金属を切り裂く甲高い機械音だった──。
パリのルーヴル美術館で、世紀の強奪事件が起きた。レオナルド・ダ・ヴィンチの「モナ・リザ」をはじめ、数々の世界的名作を収蔵するこの館はフランス文化の象徴として知られ、連日多くの観光客で賑わっている。
12世紀に軍事要塞として建てられ、その後王室の居城を経て、芸術品を収集する中心地へと姿を変えた。いまや常設展示はおよそ3万5000点にのぼり、年間800万人超が訪れる世界最大級の美術館だ。その威厳を誇る施設が白昼堂々強奪にあったというニュースは、瞬く間に世界を駆け巡り、フランス社会に深い衝撃を与えている。
今回、盗まれたのはティアラ、ネックレス、イヤリング、ブローチなど8点。いずれもフランス王室や帝政期の支配者たちの手を経てきたものだ。中でも、ナポレオン3世の妻・ウジェニー皇后のティアラとブローチ、そしてマリー・ルイーズ皇后のエメラルドのネックレスとイヤリングは、王権の華やかさを象徴する逸品とされる。
フランス警察によれば、犯人たちが館内にいた時間はわずか4分間に満たなかった。
