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日本はイタリア地方都市のように国家や政府に頼らず世界化を

 消費税増税をなんとか実施したい安倍政権にとって、「地方創生」は最重要課題である。関連2法が成立したが、法律ができたところで、地方が蘇ることはない。そう断言する大前研一氏が、地方創生のモデルプランを提起する。大前氏はイタリアのあり方に注目しているようだ。

 * * *
 イタリアは財政破綻国家という印象が強いが、実は国家が滅びても地方は全く困らない。それどころか、どっこい地方は栄えている。なぜなら約1500の小さい町の大半が自前の産業を持って世界化し、経済的に自立しているからである。いわば「国破れて地方都市あり」なのだ。

 もともとイタリアは都市国家の集合体である。都市国家は「自衛」「自治」「自分で稼ぐ」という意識が非常に強く、その歴史と伝統から各地方都市の多くが「世界で1位のものを1つだけ」作っている。バッグの留め金だけ、ベルトのバックルだけ、照明器具だけといった具合である。

 たとえばニットの伝統的な産地は、カルビという人口1500人ほどの小さな町だ。ニットは、とくに女性ファッションで非常に重要な商品であり、その中心地のカルビでは年1回、来シーズンのファッションのためのニットショーが開かれる。そこに世界中から有名なファッションデザイナーやバイヤーがやってきて、翌年の商品を注文していくのだ。

 イタリアに見習いたいもう1つのポイントは、生産部門を他国に切り離しても、デザイン部門は頑として動かさなかったことだ。

 靴やバッグをはじめとする革製品、洋服、家具などの製造部門はトルコやルーマニアに拠点を置いて製造ノウハウを移転しているが、デザインだけは絶対に教えない。

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