個別の投資信託とは違うが、2013年あたりから、継続して資金が流入し、静かに残高を伸ばしているサービスがある。「ラップ口座」だ。どんな特長があるのか、楽天証券経済研究所ファンドアナリストの篠田尚子氏が解説する。
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ラップ口座は、投資家の投資目的やリスク許容度に合わせて、金融機関の専門家がアドバイスを行ない、株式や債券、商品などで運用をする資産運用サービスのこと。いわゆる「投資一任運用サービス」の一種だ。運用前には投資家へのヒアリングを実施し、それを基に、専門家が投資方針の提案から実際の運用、運用の報告や見直しまでの面倒を見てくれる、トータルなサービスとなっている。
当初のラップ口座は、最低運用額が数千万~数億円と高額で、富裕層を対象としていたが、ここ数年で、最低運用額の引き下げが一気に進んだ。現在、最低金額は1000万円程度となっている。
そのラップ口座のうち、投資対象を投資信託に限定しているものを「ファンドラップ」という。ラップ口座とファンドラップの違いは、投資対象のほかには、最低運用額がさらに低い点が挙げられる。取り扱う金融機関によって差はあるが、300万円から利用できるところもある。
また、ラップ口座は、いつでも専門家のアドバイスが受けられるが、ファンドラップは、サービス開始当初には入念なヒアリングが行なわれるが、それ以降は、ヒアリングに基づいて、専門家が自動的に投資先となる投資信託のアロケーション(資産配分)を変更することになる。機関投資家に対する運用サービスに近いと言える。
そのため、ファンドラップでは、実質的にアドバイスの部分に、「ファンドラップフィー」と呼ばれる管理料や投資顧問料がかかる。投資金額や運用成績により、投資金額の0.5~2%前後の手数料が徴収される仕組みだ。これに、投資信託の運用コストである信託報酬が別途かかる。ただし、ファンドの販売手数料は無料となっている。