ライフ

米国出身・老舗旅館若旦那の苦悩 女将と衝突はしょっちゅう

「エリー、畳の上では靴を脱ぐんじゃ」「いかん!いかん!日本ではハグはいかんて!」──視聴率19%以上をキープしている連続テレビ小説『マッサン』(NHK)。主人公・亀山政春(玉山鉄二、34才)が妻のエリー(シャーロット・ケイト・フォックス、29才)とともに日本初の国産ウイスキーの製造を目指す物語だが、ドラマの裏テーマになっているのが国際結婚の厳しさだ。

『マッサン』では、しきりに「日本人の心」が強調されるが、同じように日本人の心の琴線に触れる温泉旅館という商売に携わるがゆえに、苦労しているケースがある。

 東日本の温泉地で3代続く老舗旅館の若女将、山内美穂さん(仮名、44才)の夫は、アメリカ出身のジェームズさん(仮名、44才)。現在同旅館の若旦那を務めている。きっかけは2003年に美穂さんの父親が亡くなったことだ。

 地元で英語教師をしていたジェームズさんと生徒だった美穂さんは約2年の交際を経て結婚し、アメリカで生活していた。美穂さんの母親で女将の秋子さん(仮名、68才)は夫の死をきっかけに旅館をたたもうと思っていたが、ジェームズさんが「もったいないから旅館を継ぐ」と言い出した。

「私はもともと旅館を継ぐ気はなく、外国人の夫が切り盛りするなんてできるわけがないと思っていました。母親も『そんなの無理よ』と大反対。それでも継ぐと言うので日本に帰ってきました」(美穂さん)

 ジェームズさんを待っていたのは若旦那修業。それまで旅館を仕切ってきた女将とはことごとく意見が食い違う。

 ジェームズさんがインテリアにしようと、どこからともなくボロボロのたんすや臼などを持ち込むと、「そんな使いもしないものを持ってきて。あんたたちが帰ってきてから、ごみ屋敷になった」と小言が飛ぶ。

 自然派のジェームズさんが裸足で廊下を歩いていると、「日本の文化では足の裏の汚いものは見せない」と女将から言われ、ジェームズさんも「これくらいは許してほしい」と言い返して衝突する。

「今でも2人はしょっちゅうけんかしてますよ。私が仲裁に入らなければならないから大変。ジェームズには、『けんかの分だけやりたいことやらせてもらってるんじゃないの?』と言ってなだめてます」(美穂さん)

 やってくる宿泊客も、青い目の若旦那に戸惑う。ジェームズさんが部屋でお茶を出そうとすると「いいから、こちらでやるから」と遮られた。

「男とか女とか関係なく育っているジェームズにとっては普通のおもてなしですが、『外国人の男がお茶を出すなんてとんでもない』というお客さまもいらっしゃいます。でもジェームズはそんなことには負けずに、お客さまに楽しんでもらおうと、積極的に動いています」(美穂さん)

※女性セブン2015年1月8・15日号

関連記事

トピックス

大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
羽生結弦の元妻・末延麻裕子がテレビ出演
《離婚後初めて》羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんがTV生出演 饒舌なトークを披露も唯一口を閉ざした話題
女性セブン
古手川祐子
《独占》事実上の“引退状態”にある古手川祐子、娘が語る“意外な今”「気力も体力も衰えてしまったみたいで…」
女性セブン
「What's up? Coachella!」約7分間、圧巻のパフォーマンスで観客を魅了(写真/GettyImages)
Number_iが世界最大級の野外フェス「コーチェラ」で海外初公演を実現 約7分間、圧巻のパフォーマンスで観客を魅了
女性セブン
《家族と歩んだ優しき元横綱》曙太郎さん、人生最大の転機は格闘家転身ではなく、結婚だった 今際の言葉は妻への「アイラブユー」
《家族と歩んだ優しき元横綱》曙太郎さん、人生最大の転機は格闘家転身ではなく、結婚だった 今際の言葉は妻への「アイラブユー」
女性セブン
天皇皇后両陛下、震災後2度目の石川県ご訪問 被災者に寄り添う温かいまなざしに涙を浮かべる住民も
天皇皇后両陛下、震災後2度目の石川県ご訪問 被災者に寄り添う温かいまなざしに涙を浮かべる住民も
女性セブン
今年の1月に50歳を迎えた高橋由美子
《高橋由美子が“抱えられて大泥酔”した歌舞伎町の夜》元正統派アイドルがしなだれ「はしご酒場放浪11時間」介抱する男
NEWSポストセブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
STAP細胞騒動から10年
【全文公開】STAP細胞騒動の小保方晴子さん、昨年ひそかに結婚していた お相手は同い年の「最大の理解者」
女性セブン
年商25億円の宮崎麗果さん。1台のパソコンからスタート。  きっかけはシングルマザーになって「この子達を食べさせなくちゃ」
年商25億円の宮崎麗果さん。1台のパソコンからスタート。 きっかけはシングルマザーになって「この子達を食べさせなくちゃ」
NEWSポストセブン
大谷翔平を待ち受ける試練(Getty Images)
【全文公開】大谷翔平、ハワイで計画する25億円リゾート別荘は“規格外” 不動産売買を目的とした会社「デコピン社」の役員欄には真美子さんの名前なし
女性セブン
逮捕された十枝内容疑者
《青森県七戸町で死体遺棄》愛車は「赤いチェイサー」逮捕の運送会社代表、親戚で愛人関係にある女性らと元従業員を……近隣住民が感じた「殺意」
NEWSポストセブン