問題は、1.5や1.7といった2以下のボーダーラインにいる人だ。脳の形は個人差があるので、数値で2に近いものが出たとしても、例えば脳のしわが深く、結果、脳がへこんでいるように見える画像になる場合もある。
「ボーダーラインの方の場合は、元の画像データを見直して判断します。物忘れや認知症の可能性を疑って検査を受けている方が多いので、総合的に判断することが必要です。場合によっては、脳血流検査を実施することもあります。ボーダーの方は、経過観察として、定期的に検査を受けていただいています」(笹沼院長)
この施設での脳ドック受診者は年間約1000人で、そのうち約20%が脳萎縮検査を受ける。その中で2以上の判定を受ける人は、数人程度とかなり少ない。しかし、ボーダーラインの判定を受ける人はけっこういる。この時点で見つかれば、認知症の予防にもつながる。
生活習慣病は、認知症の発症リスクといわれる。そのため生活習慣病の治療が、認知症予防の第一だ。高血圧や糖尿病などの治療を行ない、数値を正常にコントロールすることが基本である。さらに家に閉じこもらず、他人と積極的に付き合い、趣味にいそしむなど、脳を活発に動かすことも重要な認知症予防だ。
■取材・構成/岩城レイ子
※週刊ポスト2015年1月1・9日号