国際情報

中国赤サンゴ村 美人女子大生さえ警察の取り締まりに怯える

日本領海の赤サンゴを獲り尽くした漁船群はこの港から出航した

 昨年、小笠原諸島近海に押し寄せた赤サンゴ密漁船団の拠点のひとつ、中国福建省寧徳市霞浦県の漁村では、村の随所に密漁や密売を禁止する厳めしい文言を記した赤い横断幕が張られ、漁港の壁や警察施設などにも「赤サンゴの密漁・売買禁止」を意味する標語が躍っている。

 そして、村の誰に聞いても「赤サンゴなんか聞いたこともない」と素知らぬ顔をする。だが、謎を解くカギは女子大生が差し伸べてくれた。

「日本領海に行った漁師から逮捕者が続出してみんなビクビクしているからなの」

 ここまでは当サイトで既報だが、「箝口令の村」の緊迫具合はどれほどのものなのだろう。同村を潜入取材したジャーナリストで『中国人の取扱説明書』(日本文芸社刊)著者の中田秀太郎氏が振り返る。

 * * *
 建省寧徳市霞浦県に所在する三沙漁港は、福建省の省都である福州市から高速鉄道(中国版新幹線)で1時間、さらにクルマをチャーターして1時間ほどのところにある小さな村だ。漁村を小高いところから見下ろすと、潮の香る風が吹き、遠浅の海を利用して行なわれる海苔養殖の杭がどこまでも広がる風光明媚な場所だった。

 村の中心部に到着してみると意外なことに、なかなかの発展ぶりだった。高層建築物はないが、村のメインストリートには1km近くにわたって商店が連なり、バスやバイク、屋根付き三輪車がひっきりなしに往来していた。これもサンゴ漁で潤っているせいだろうか。取材の成果に期待が膨らむ。

 しかし、取材は簡単に進まなかった。村に来るためにチャーターしたクルマの運転手が「赤サンゴ漁の実力者と友達だから取材できるよう話してやる」と得意げに話していたのだが、実際に村に着いて連絡を取ってみると、大いに揉めている様子。交渉を待つ間、しらみつぶしに歩いて取材することにした。

 村人たちに片っ端から話しかけると、雑談は笑顔で応じるのだが「赤サンゴ」の名を出した途端にプイっと横を向いて無表情になる。あるいは「赤サンゴなんて言葉、生まれてこのかた一度も聞いたことない」というかのどちらかだったのだ。中には赤サンゴの指輪をつけたままの男性もいたのに、である。

 キツネにつままれたような気になっていたころ、たまたま休憩のために入った個人経営のハンバーガー店のレジ係との会話で謎が解けた。日本語を学んでいるという女子大生が、私たちの話し声を聞いて「日本人ですか」と反応してくれたのだ。

トピックス

2014年に結婚した2人(左・時事通信フォト)
《仲間由紀恵「妊活中の不倫報道」乗り越えた8年》双子の母となった妻の手料理に夫・田中哲司は“幸せ太り”、「子どもたちがうるさくてすみません」の家族旅行
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(左/Xより)
《大学時代は自由奔放》学歴詐称疑惑の田久保市長、地元住民が語る素顔「裏表がなくて、ひょうきんな方」「お母さんは『自由気ままな放蕩娘』と…」
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《自宅から遺体見つかる》遠野なぎこ、近隣住民が明かす「部屋からなんとも言えない臭いが…」ヘルパーの訪問がきっかけで発見
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信)と妊娠中の真美子さん(大谷のInstagramより)
《大谷翔平バースデー》真美子さんの“第一子につきっきり”生活を勇気づけている「強力な味方」、夫妻が迎える「家族の特別な儀式」
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(HP/Xより)
田久保眞紀市長の学歴詐称疑惑 伊東市民から出る怒りと呆れ「高卒だっていい、嘘つかなきゃいいんだよ」「これ以上地元が笑いものにされるのは勘弁」
NEWSポストセブン
東京・新宿のネオン街
《「歌舞伎町弁護士」が見た性風俗店「本番トラブル」の実態》デリヘル嬢はマネジャーに電話をかけ、「むりやり本番をさせられた」と喚めき散らした
NEWSポストセブン
横浜地裁(時事通信フォト)
《アイスピックで目ぐりぐりやったあと…》多摩川スーツケース殺人初公判 被告の女が母親に送っていた“被害者への憎しみLINE” 裁判で説明された「殺人一家」の動機とは
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《女優・遠野なぎこのマンションで遺体発見》近隣住民は「強烈な消毒液の匂いが漂ってきた」「ポストが郵便物でパンパンで」…関係者は「本人と連絡が取れていない」
NEWSポストセブン
記者が発行した卒業証明書と田久保市長(右/時事通信)
《偽造or本物で議論噴出》“黄ばんだ紙”に3つの朱肉…田久保真紀・伊東市長 が見せていた“卒業証書らしき書類”のナゾ
NEWSポストセブン
JESEA主席研究員兼最高技術責任者で中国人研究者の郭広猛博士
【MEGA地震予測・異常変動全国MAP】「箱根で見られた“急激に隆起”の兆候」「根室半島から釧路を含む広範囲で大きく沈降」…5つの警戒ゾーン
週刊ポスト
盟友である鈴木容疑者(左・時事通信)への想いを語ったマツコ
《オンカジ賭博で逮捕のフジ・鈴木容疑者》「善貴は本当の大バカ者よ」マツコ・デラックスが語った“盟友への想い”「借金返済できたと思ってた…」
NEWSポストセブン
米田
《チューハイ2本を万引きで逮捕された球界“レジェンド”が独占告白》「スリルがあったね」「棚に返せなかった…」米田哲也氏が明かした当日の心境
週刊ポスト