声の主はNHK朝ドラで『あまちゃん』を演じた能年玲奈に似たショートカットの女性。大都市から遠く離れた田舎村に日本語が話せる人物がいることに驚きつつ、日本語ならば他の村民に聞かれても分からないことに気づいた。ここまで村民が赤サンゴがタブーになっている理由をズバリ聞いたところ、恐る恐る、といった感じで教えてくれた。
それによると、「警察の取り締まりが厳しいが、赤サンゴの装飾品は村人なら誰でも持っている。私自身も家にネックレスと指輪がある」。アクセサリーを見せてほしいと頼むと、間をあけずに了解。バイトが終わる18時まで待ってほしい、ということで話がまとまった。
しかし、その約束は反故にされてしまう。確かにその兆候はあった。彼女にケータイ番号を聞くも断られたのだ。中国では女性であってもわりと簡単に電話番号を教えてもらえるものなのだが、取材の話が進むにつれ「だんだん怖くなってきた」とのことで無理強いしないでおいたのだ。
ハンバーガーを食べ終わり、帰り際にレジ前を見るも彼女の姿が見えない。他の店員に聞くと「彼女は早引けして帰ったよ。もう今日は来ない」というばかりだった。
赤サンゴの村で、彼女はいまも怯えながら過ごしているのだろうか。