「高カカオチョコレートには、カカオポリフェノールが豊富に含まれています。この成分が腸から吸収されて全身の血管を巡り、血管が炎症を起こして狭くなっている部分では、炎症を抑えて血管の内皮機能を改善します。炎症が治まって血管がしなやかになり、赤血球などが通りやすくなることで血圧が下がると考えられます。
実は私たちもチョコレートといった身近な食品を、4週間という短期間摂取するだけで、ここまではっきりと結果が出るとは予想もしていませんでした。この研究は今後、論文として発表する予定です」
同研究結果をもとに実施した「高カカオチョコレートの健康効果についてのアンケート調査」(20~60代の男女500名対象に2015年1月実施)では、「チョコレートにはカカオポリフェノールが豊富である」と知っている人は約8割。一方で、「チョコに健康イメージがある」と答えた人は38.4%に留まっていた。しかし同実証研究の結果を知ると、約8割が「結果を意外に感じ、驚いた」「結果に関心をもった」「高カカオチョコを日常生活に取り入れたい」と回答している。
ちょっと疲れた時や小腹が減った時、オフィスでコーヒーと一緒に高カカオチョコレートをつまめば、気分転換になるだけではなく、体に優しいコーヒーブレイクとなりそうだ。
「この研究では、カカオ分72%の“高カカオチョコレート”を毎日25g食べてもらいました。カロリーは約140kcalで、小さめのおにぎり1個分、食パン1枚分程度ですから、おやつとして日常の食生活にプラスしても問題のない量です。
また、今回の研究の中で、25gのチョコレートを毎日食べ続けても体重やBMI(肥満指数)には、特に悪影響がないことも確認しています。日中に間食の習慣がない男性の場合、夜にブランデーなどの洋酒を飲みながら、甘さを抑えた高カカオチョコレートをつまむというのも合いますよ」(大澤教授)