ビジネス

遺言信託サービスの注意点 銀行は相続トラブルに関与しない

 今年から相続税が増税されたこともあり、将来の相続対策を考えた財産管理や分割の行方などについて関心が高まっている。

 そこで、いま契約数が急増しているのが、信託銀行が請け負う「遺言信託」である。

 みずほ、三井住友、三菱UFJといったメガバンク系列の信託銀行はもちろん、千葉銀行や横浜銀行など地方銀行もこぞって力を入れているサービスで、信託銀行が取り扱う「遺言書」の保管件数は、10年前に比べて倍の約7万件にまで増えている。

 だが、このサービスを利用するメリットがどこまであるかについては、疑問の声も挙がっている。

「信託銀行は遺言書の作成アドバイスや保管し、遺言の執行(名義変更・遺産分割)まで行うが、行政書士や税理士でも書き方は教えてくれるし、公正証書遺言は公証役場で管理してもらえる。

 なによりも、信託銀行はフィー(報酬)が高い。財産の多い少ないにかかわらず最低報酬額が決められているうえ、借金などの“消極財産”は含まずに算定されてしまうので、割高といえる」(金融ジャーナリスト)

 さらに、信託銀行に依頼してもっとも困るのが、相続を開始した後に相続人同士で揉め事が発生した場合、あっさりと業務から手を引かれてしまうことにある。

 事実、とある信託銀行のHPには【遺言執行が著しく困難な場合には、遺言執行者への就職を辞退させていただくことがあります】と、小さな文字で書いてある。

 これは「弁護士法(72条)に抵触するため、紛争解決には立ち入れない」(同前)のが理由だが、高額な手数料だけ払って相続トラブルにも対処してくれないとなれば、初めから弁護士に依頼したほうが安上がりだった――という結果にもなりかねない。

 まこと法律事務所の北村真一氏(代表弁護士)がいう。

「信託銀行だから安心だと思っている人は多いのですが、行員が弁護士資格を持っているわけではありませんし、マニュアルに従って契約を取っているだけ。

 また、担当者も転勤などで異動することがザラにあるので、いざ何かあったときに当時の事情を知る人がいなければ、新たなトラブルを引き起こさないとも限りません」

関連キーワード

関連記事

トピックス

大谷翔平選手と妻・真美子さん
「娘さんの足が元気に動いていたの!」大谷翔平・真美子さんファミリーの姿をスタジアムで目撃したファンが「2人ともとても機嫌が良くて…」と明かす
NEWSポストセブン
メキシコの有名美女インフルエンサーが殺人などの罪で起訴された(Instagramより)
《麻薬カルテルの縄張り争いで婚約者を銃殺か》メキシコの有名美女インフルエンサーを米当局が第一級殺人などの罪で起訴、事件現場で「迷彩服を着て何発も発砲し…」
NEWSポストセブン
「手話のまち 東京国際ろう芸術祭」に出席された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年11月6日、撮影/JMPA)
「耳の先まで美しい」佳子さま、アースカラーのブラウンジャケットにブルーのワンピ 耳に光るのは「金継ぎ」のイヤリング
NEWSポストセブン
逮捕された鈴木沙月容疑者
「もうげんかい、ごめんね弱くて」生後3か月の娘を浴槽内でメッタ刺し…“車椅子インフルエンサー”(28)犯行自白2時間前のインスタ投稿「もうSNSは続けることはないかな」
NEWSポストセブン
「埼玉を日本一の『うどん県』にする会」の会長である永谷晶久さん
《都道府県魅力度ランキングで最下位の悲報!》「埼玉には『うどん』がある」「埼玉のうどんの最大の魅力は、多様性」と“埼玉を日本一の「うどん県」にする会”の会長が断言
NEWSポストセブン
受賞者のうち、一際注目を集めたのがシドニー・スウィーニー(インスタグラムより)
「使用済みのお風呂の水を使った商品を販売」アメリカ人気若手女優(28)、レッドカーペットで“丸出し姿”に賛否集まる 「汚い男子たち」に呼びかける広告で注目
NEWSポストセブン
新関脇・安青錦にインタビュー
【独占告白】ウクライナ出身の新関脇・安青錦、大関昇進に意欲満々「三賞では満足はしていない。全部勝てば優勝できる」 若隆景の取り口を参考にさらなる高みへ
週刊ポスト
芸能活動を再開することがわかった新井浩文(時事通信フォト)
《出所後の“激痩せ姿”を目撃》芸能活動再開の俳優・新井浩文、仮出所後に明かした“復帰への覚悟”「ウチも性格上、ぱぁーっと言いたいタイプなんですけど」
NEWSポストセブン
”ネグレクト疑い”で逮捕された若い夫婦の裏になにが──
《2児ママと“首タトゥーの男”が育児放棄疑い》「こんなにタトゥーなんてなかった」キャバ嬢時代の元同僚が明かす北島エリカ容疑者の“意外な人物像”「男の影響なのかな…」
NEWSポストセブン
滋賀県草津市で開催された全国障害者スポーツ大会を訪れた秋篠宮家の次女・佳子さま(共同通信社)
《“透け感ワンピース”は6万9300円》佳子さま着用のミントグリーンの1着に注目集まる 識者は「皇室にコーディネーターのような存在がいるかどうかは分かりません」と解説
NEWSポストセブン
真美子さんのバッグに付けられていたマスコットが話題に(左・中央/時事通信フォト、右・Instagramより)
《大谷翔平の隣で真美子さんが“推し活”か》バッグにぶら下がっていたのは「BTS・Vの大きなぬいぐるみ」か…夫は「3か月前にツーショット」
NEWSポストセブン
山本由伸選手とモデルのNiki(共同通信/Instagramより)
《いきなりテキーラ》サンタコスにバニーガール…イケイケ“港区女子”Nikiが直近で明かしていた恋愛観「成果が伴っている人がいい」【ドジャース・山本由伸と交際継続か】
NEWSポストセブン