スポーツ

センバツ大会優勝校 夏も甲子園に戻ってくる確率は48.8%

 週刊ポスト増刊『プロ野球&甲子園 甦る伝説』が発売された。発刊を記念して、人気コミック『砂の栄冠』(作・三田紀房)の監修者でもあるスポーツジャーナリストの田尻賢誉氏が高校野球の地方予選の楽しみ方について指南する。

 * * *
 高校野球の地方予選は、甲子園で行なわれる本大会以上の緊張感に溢れている。球児たちにとって「夢の甲子園」に出場できるかどうかは野球人生を大きく左右する大問題。特に3年生は負ければ即引退と後がない。必死になるのは当然だ。

 それに比べれば甲子園の本大会は出場だけで満足、1勝すれば御の字というチームも多い。ベスト8なら国体出場権も得られるなど、勝つたびに「お腹いっぱい」になるチームが増えていく。地方大会ほど「負けられない」という思いはない。

 勝たなければならないという「must思考」の予選と、ただ勝ちたいという思いでのびのびやれる「want思考」の本戦、どちらが面白いかは意見が分かれるだろうが、野球を「精神力のスポーツ」と見るなら、地方予選ほど面白いものはない。

 実力差がそのまま結果に反映されるとは限らない。強豪校・常連校には「勝って当たり前」「自分たちの代だけ甲子園を逃すわけにはいかない」という重圧がある。その証拠に、昨年まで86回を数えるセンバツ大会の優勝校のうち、夏も甲子園に戻ってきたのは42校。出場確率は48.8%と「春の最強 チーム」の5割以上が地方大会で姿を消している。

 昨年の夏の甲子園本大会で私立校相手に勝利を収めた公立校は山形中央(山形)と富山商(富山)のみ。他の公立校は「私学の壁」を突破することができなかった。選手層・資金力ともに圧倒する私立校の優位は地方予選でも同様だが、だからこそ「下克上」「大番狂わせ」の興奮もひとしおといえる。

 グラウンド外の話になるが、地方大会は独自色ある「応援」も楽しみのひとつ。奈良・郡山の『郡高音頭』、千葉・習志野の『レッツゴー』、埼玉・松山の『プロミネント松高』など、各校のオリジナル曲を堪能するのが“ツウ”の観戦術だ。

 応援には意外な地域性もある。秋田ではジャズのスタンダード「タイガーラグ」がチャンステーマの定番で各校が演奏するし、なぜか石川県では松任谷由実の『真夏の夜の夢』が多く使われている。また、県によっては1回戦から勝利チームの校歌が流れるが、それを録音する”校歌オタク”のファンもいる。

 自分なりのテーマを見つけて、いろいろな発見をしていく。それもまた地方大会の楽しみ方のひとつだ。

※週刊ポスト2015年3月6日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

イベントの“ドタキャン”が続いている米倉涼子
「押収されたブツを指さして撮影に応じ…」「ゲッソリと痩せて取り調べに通う日々」米倉涼子に“マトリがガサ入れ”報道、ドタキャン連発「空白の2か月」の真相
NEWSポストセブン
元従業員が、ガールズバーの”独特ルール”を明かした(左・飲食店紹介サイトより)
《大きい瞳で上目遣い…ガルバ写真入手》「『ブスでなにもできないくせに』と…」“美人ガルバ店員”田野和彩容疑者(21)の“陰湿イジメ”と”オラオラ営業
NEWSポストセブン
「ガールズメッセ2025」の式典に出席された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年10月19日、撮影/JMPA)
《“クッキリ”ドレスの次は…》佳子さま、ボディラインを強調しないワンピも切り替えでスタイルアップ&フェミニンな印象に
NEWSポストセブン
結婚へと大きく前進していることが明らかになった堂本光一
《堂本光一と結婚秒読み》女優・佐藤めぐみが芸能界「完全引退」は二宮和也のケースと酷似…ファンが察知していた“予兆”
NEWSポストセブン
売春防止法違反(管理売春)の疑いで逮捕された池袋のガールズバーに勤める田野和彩容疑者(21)
《GPS持たせ3か月で400人と売春強要》「店ナンバーワンのモテ店員だった」美人マネージャー・田野和彩容疑者と鬼畜店長・鈴木麻央耶容疑者の正体
NEWSポストセブン
日本サッカー協会の影山雅永元技術委員長が飛行機でわいせつな画像を見ていたとして現地で拘束された(共同通信)
「脚を広げた女性の画像など1621枚」機内で児童ポルノ閲覧で有罪判決…日本サッカー協会・影山雅永元技術委員長に現地で「日本人はやっぱロリコンか」の声
NEWSポストセブン
三笠宮家を継ぐことが決まった彬子さま(写真/共同通信社)
三笠宮家の新当主、彬子さまがエッセイで匂わせた母・信子さまとの“距離感” 公の場では顔も合わさず、言葉を交わす場面も目撃されていない母娘関係
週刊ポスト
タンザニアで女子学生が誘拐され焼死体となって見つかった事件が発生した(時事通信フォト)
「身代金目的で女子大生の拷問動画を父親に送りつけて殺害…」タンザニアで“金銭目的”“女性を狙った暴力事件”が頻発《アフリカ諸国の社会問題とは》
NEWSポストセブン
鮮やかなロイヤルブルーのワンピースで登場された佳子さま(写真/共同通信社)
佳子さま、国スポ閉会式での「クッキリ服」 皇室のドレスコードでは、どう位置づけられるのか? 皇室解説者は「ご自身がお考えになって選ばれたと思います」と分析
週刊ポスト
Aさんの左手に彫られたタトゥー。
《10歳女児の身体中に刺青が…》「14歳の女子中学生に彫られた」ある児童養護施設で起きた“子供同士のトラブル” 職員は気づかず2ヶ月放置か
NEWSポストセブン
知床半島でヒグマが大量出没(時事通信フォト)
《現地ルポ》知床半島でヒグマを駆除するレンジャーたちが見た「壮絶現場」 市街地各所に大量出没、1年に185頭を処分…「人間の世界がクマに制圧されかけている」
週刊ポスト
お騒がせインフルエンサーのボニー・ブルー(インスタグラムより)
「バスの車体が不自然に揺れ続ける」“タダで行為できます”金髪美女インフルエンサー(26)が乱倫バスツアーにかけた巨額の費用「価値は十分あった」
NEWSポストセブン