ライフ

いまだに意識が低い男性の妊活 6割が検査に「抵抗あり」

 最近メディアで耳にすることが多い「妊活」という言葉。妊娠をするための知識をつけたり、妊娠するにあたっての体の状況を知ったりするための活動のことで、有名人が妊活のための休業に入るというニュースも多い。

 たとえば、お笑いトリオ・森三中の大島美幸は、2014年5月から妊活に専念するために芸能活動を休止。その後、人工授精の末に妊娠したことを、2015年2月に報告している。また、ロックバンド「マキシマム ザ ホルモン」のドラマー・ナヲは、妊活のために2015年5月末をもってライブ活動を一時休止すると発表。そのほかにも、2015年2月にブログで妊娠発覚を発表した元テニスプレーヤー・杉山愛も、長期にわたる妊活と不妊治療をしていたことを告白するなど、「妊活」というキーワードとともに、妊娠に向けた活動や不妊治療の重要性にスポットが当たっているのだ。

 もちろん、妊娠は男女がいないとできないもの。しかし、メディアで取り上げられるのは女性の妊活ばかりだという現状もある。不妊体験者の支援を行っているNPO法人Fine(ファイン)理事長の松本亜樹子さんはこう話す。

「不妊の原因の半分は男性にあると言われています。でも、多くの男性は女性のほうに原因があると考えがちです。男性の妊活に対する認知度はまだまだ低いと言えますね」

 森三中大島の夫である放送作家の鈴木おさむ氏は、ブログで自身の妊活を事細かに報告しているのだが、そのブログによると「僕の精子を検査した時に、精子の運動率があまりよくなかったりしたもので、それもあって早めの人工授精をすすめられました」とのこと。つまり、鈴木氏が妊活として精子の検査を受けなかったら、人工授精という選択に至らなかった可能性があるということなのだ。

「自分の精子の量や質が低い、あるいは低下しているなんて想像もしていない男性も多いと思います。そういう意味では、男性も早い段階から精子の状態を検査するなどの“妊活”をすることが重要だと思います」(松本さん)

 自分の精子の運動率が低いことを知った鈴木氏は、男性の妊活について調べるようになったという。そして、ブログでは、「僕も自分の精子の状態を知ってから、食事や生活の面で変えたことや意識したこともたくさんあります。だから、その現実をもっと多くの男性に知ってほしいなと思ったりしてます」と、男性の妊活の必要性を訴えている。

 では、実際に男性は妊活についてどう認識しているのだろうか。妊活・不妊治療情報サイト『妊活応援なび』では、「夫のホンネ大調査」として、28才から48才まで平均年齢37才の男性を対象とした妊活に関するアンケートを紹介している。

「不妊は男性にも原因があることは知っていましたか?」という質問で98%が「はい」と答えている。パートナーが不妊治療中の男性を対象としていることもあり、不妊についての認知度は高い模様。しかし、「精液検査に抵抗はありましたか?」という質問では、11%が「おおいにあった」、49%が「少しあった」という回答で、6割の男性が精液検査に抵抗があることがわかる。理由としては「自分に原因があったらと思うと怖い」というものが半数以上だったとのことで、 “男としてのアイデンティティやプライド”といった男性側の本音が見えてくる。

『妊活応援なび』における男性会員の割合は全体の4%未満程度とのこと。同サイトを運営するサンワードメディアの阿久津美紀さんは、こう説明する。

「『妊活という言葉は知っているし、関心もなくはない。不妊の原因が男性にある場合も多いということも知識としては理解している。だけど、実際にアクションを起こすまでには至らないし、自分とはあまり関係がないとどこかで思っている』というのが男性の妊活への意識の現状であり、それが会員数にもあらわれているように思われます。

 もっともっと、世の中の男性に『妊活は2人でするもの』だということを知ってほしいですし、『赤ちゃんを授かるには2人で協力することが不可欠』であることを伝えていく、というのが今後の大きな課題です」

 ちなみに、『妊活応援なび』では、不妊治療に力を入れている全国のクリニックや漢方薬局などの情報を提供しているが、それらの施設検索のページが平均してアクセスが多いという。

「掲載施設数は随時追加しています。詳細な施設情報を掲載するページについては、しっかりと取材を行い、正確な情報を伝えることが重要だと思います」(阿久津さん)

 さらに前述のNPO法人Fineの松本さんは、ネット上の妊活情報についてこんな指摘をする。

「妊活において重要なのは、正確な知識を得ること。妊活や不妊治療に関する情報はネットにもたくさんありますが、玉石混淆なのは確かです。正しくない情報も多いので、そこを見極めるのが大切ですね」

「妊活ブーム」といわれる昨今だが、実は男性の意識はまだまだ低いのが現状。単なるブームに終わらせないためにも、男女ともに積極的に正しい知識を求めるところから始めてみる必要がありそうだ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

高市早苗氏が首相に就任してから1ヶ月が経過した(時事通信フォト)
高市早苗首相への“女性からの厳しい指摘”に「女性の敵は女性なのか」の議論勃発 日本社会に色濃く残る男尊女卑の風潮が“女性同士の攻撃”に拍車をかける現実
女性セブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)
《1日で1000人以上と関係を持った》金髪美女インフルエンサーが予告した過激ファンサービス… “唾液の入った大量の小瓶”を配るプランも【オーストラリアで抗議活動】
NEWSポストセブン
日本全国でこれまでにない勢いでクマの出没が増えている
《猟友会にも寄せられるクレーム》罠にかかった凶暴なクマの映像に「歯や爪が悪くなってかわいそう」と…クレームに悩む高齢ベテランハンターの“嘆き”とは
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
六代目山口組が住吉会最高幹部との盃を「突然中止」か…暴力団や警察関係者に緊張が走った竹内照明若頭の不可解な「2度の稲川会電撃訪問」
NEWSポストセブン
浅香光代さんと内縁の夫・世志凡太氏
《訃報》コメディアン・世志凡太さん逝去、音楽プロデューサーとして「フィンガー5」を世に送り出し…直近で明かしていた現在の生活「周囲は“浅香光代さんの夫”と認識しています」
NEWSポストセブン
警視庁赤坂署に入る大津陽一郎容疑者(共同通信)
《赤坂・ライブハウス刺傷で現役自衛官逮捕》「妻子を隠して被害女性と“不倫”」「別れたがトラブルない」“チャリ20キロ爆走男” 大津陽一郎容疑者の呆れた供述とあまりに高い計画性
NEWSポストセブン
無銭飲食を繰り返したとして逮捕された台湾出身のインフルエンサーペイ・チャン(34)(Instagramより)
《支払いの代わりに性的サービスを提案》米・美しすぎる台湾出身の“食い逃げ犯”、高級店で無銭飲食を繰り返す 「美食家インフルエンサー」の“手口”【1か月で5回の逮捕】
NEWSポストセブン
温泉モデルとして混浴温泉を推しているしずかちゃん(左はイメージ/Getty Images)
「自然の一部になれる」温泉モデル・しずかちゃんが“混浴温泉”を残すべく活動を続ける理由「最初はカップルや夫婦で行くことをオススメします」
NEWSポストセブン
宮城県栗原市でクマと戦い生き残った秋田犬「テツ」(左の写真はサンプルです)
《熊と戦った秋田犬の壮絶な闘い》「愛犬が背中からダラダラと流血…」飼い主が語る緊迫の瞬間「扉を開けるとクマが1秒でこちらに飛びかかってきた」
NEWSポストセブン
全米の注目を集めたドジャース・山本由伸と、愛犬のカルロス(左/時事通信フォト、右/Instagramより)
《ハイブラ好きとのギャップ》山本由伸の母・由美さん思いな素顔…愛犬・カルロスを「シェルターで一緒に購入」 大阪時代は2人で庶民派焼肉へ…「イライラしている姿を見たことがない “純粋”な人柄とは
NEWSポストセブン
真美子さんの帰国予定は(時事通信フォト)
《年末か来春か…大谷翔平の帰国タイミング予測》真美子さんを日本で待つ「大切な存在」、WBCで久々の帰省の可能性も 
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン