「ペットの運動は人間と同様に骨格、筋肉、内蔵機能の活性化を促し、健康の維持ならびに身体のメンテナンスにつながります。逆に言えば、運動不足は肥満や臓器全般の衰退を引き起こし、病気に対する抵抗力を低下させてしまいます。生活習慣病を含めた各種疾患にかかるリスクが増え、結果的に寿命を縮めることにつながりかねません。
犬の場合、1日2回の散歩で、1回あたりの時間は小型犬で20~30分程度、大型犬は50~60分程度が一般的な目安です。猫の場合、高い所への昇降運動はいい運動になります。猫がずっと室内にいる場合は、昇降運動を行なえるキャットタワーや高さの違う家具を階段状に配置することを心がけてください」(草場さん)
前出の調査によると、1回あたりの犬の散歩の時間は小型犬で28.6分、中型犬で36.4分、大型犬で43.4分との結果で、大型犬は目安の時間には届かず。散歩はペットの健康だけでなく、飼い主とのコミュニケーションによるストレス解消にもなるため、充分な運動を心がけたいところ。
最後に、動物の場合におろそかにされがちなのが「定期予防」だ。調査によると、実際に獣医師の健診を定期的に行なっている人は44%。行っていない飼い主は56%にものぼるという。必要がないと感じている、または、お金がかかることがその理由。だが、定期的な健診による病気の早期発見は、健康寿命を延ばすためには必要だ。「愛犬、愛猫のために、人間同様、常日頃から健康管理を習慣化しておくのが飼い主としての愛情の証」と草場さんは言う。
「犬や猫は、不具合や体調不良を我慢して周りにさとらせないようにする本能があり、飼い主の皆さんが不調に気づかず見過ごしてしまうことも少なくありません。犬や猫が発する“いつもと違う”ちょっとしたサインを見逃さないよう、まめにスキンシップを行い、健康な状態をしっかりと把握しておくことが大切です。
早期発見、早期治療、または異常をいち早く見つけるために、信頼できるかかりつけの獣医師を決めて、健康な時でも気兼ねなく相談することも定期予防の大切なポイントです」(草場さん)
世界的に長寿国と認められている日本。ペットとともに高齢化社会を健康で元気に長生きするために、まずは適切な「食事」「運動」「定期予防」から見直してみてはいかがだろうか。