従来の相場展開であれば、CTAが押し目買いを入れるタイミングは何度もあったのだが、冒頭で紹介した複数の大手CTAがコモディティ市場に復帰することはなかったのである。
では、大手CTAがコモディティ市場から引き揚げた資金はどこに向かったのか? 通貨や債券および株式市場である。その結果、想定される最大のポジションは、投資を金融商品だけに集中する大手CTAのトップ20社の合計で、為替市場60兆円、債券市場50兆円、株式市場20兆円弱にまで膨らむ可能性がある(レバレッジ後の金額)。
CTAの売買手法の特徴は、巨額の資金で、高速のプログラム売買を行なう点。そのため、一時的な相場への破壊力は極めて高い。しかも、昨年から、大手CTA数社が協調して、売買を繰り返している形跡がみられている。相場の上昇あるいは下落局面で、市場に先んじて、協調して大規模な反対売買を行なって利益を上げる手法だ。この力ずくの手法によって、大手CTAの運用成績は、軒並み大幅に改善した。
昨年来、日本はもとより、米国の株式市場も1日で大きく上下動するようになったが、こうした要因が強く影響していると考えられる。
※マネーポスト2015年春号