スポーツ

長嶋茂雄 計算された華麗な守備は描写難しく実況アナ泣かせ

 野球に取り組む真摯な姿勢から、長嶋茂雄は「ミスタープロ野球」「ミスタージャイアンツ」等と呼ばれている。現役時代、練習に集中しすぎて試合を忘れてしまったときのことを、1600を超えるプロ野球の試合を実況した元ニッポン放送アナウンサーの深澤弘氏が振り返り、語った。

 * * *
 長嶋さんの勝利への執着、技術習得への集中力は図抜けていました。

 不調時に試合前のベンチ裏の大鏡の前で素振りを繰り返していた長嶋さんが、とうとう手応えを掴んで「スランプを脱した」と確信して満足してしまい、試合を忘れてしまったという逸話があります。

 グラウンドで試合が始まるが、いくら待っても長嶋さんが出て来ない。監督以下、選手やマネジャーが捜し回ると、ミスターは1人、ロッカールームにパンツ一丁でボーッとしていた。長嶋さん自身も、試合を忘れていたことを認め、

「人間の集中力は凄いと思った。オレにとっても衝撃的な事件だった」

 と後に振り返っていました。長嶋さんの守備も忘れられませんね。計算されていて華麗だった。でも、そういう守備はアナウンサー泣かせでした。僕は何とかすべてを描写しようとした。

「長嶋は広岡(達朗)の前に転がるゴロを捕って一塁に送球。アウト、でもサードゴロです!」

「グラブを派手に突き出しながら、腕を目一杯伸ばす。捕った、投げた! 投げた後の右の掌がヒラヒラと舞っています!」

 といった調子です。一方で見事なトンネルもありましたが、その時は、「関門トンネル」(当時、日本一有名なトンネルだった)などと表現しました(笑い)。

※週刊ポスト2015年4月3日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

和久井被告が法廷で“ブチギレ罵声”
【懲役15年】「ぶん殴ってでも返金させる」「そんなに刺した感触もなかった…」キャバクラ店経営女性をメッタ刺しにした和久井学被告、法廷で「後悔の念」見せず【新宿タワマン殺人・判決】
NEWSポストセブン
初の海外公務を行う予定の愛子さま(写真/共同通信社 )
愛子さま、初の海外公務で11月にラオスへ、王室文化が浸透しているヨーロッパ諸国ではなく、アジアの内陸国が選ばれた理由 雅子さまにも通じる国際貢献への思い 
女性セブン
几帳面な字で獄中での生活や宇都宮氏への感謝を綴った、りりちゃんからの手紙
《深層レポート》「私人間やめたい」頂き女子りりちゃん、獄中からの手紙 足しげく面会に通う母親が明かした現在の様子
女性セブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
《ママとパパはあなたを支える…》前田健太投手、別々で暮らす元女子アナ妻は夫の地元で地上120メートルの絶景バックに「ラグジュアリーな誕生日会の夜」
NEWSポストセブン
グリーンの縞柄のワンピースをお召しになった紀子さま(7月3日撮影、時事通信フォト)
《佳子さまと同じブランドでは?》紀子さま、万博で着用された“縞柄ワンピ”に専門家は「ウエストの部分が…」別物だと指摘【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
一般家庭の洗濯物を勝手に撮影しSNSにアップする事例が散見されている(画像はイメージです)
干してある下着を勝手に撮影するSNSアカウントに批判殺到…弁護士は「プライバシー権侵害となる可能性」と指摘
NEWSポストセブン
亡くなった米ポルノ女優カイリー・ペイジさん(インスタグラムより)
《米ネトフリ出演女優に薬物死報道》部屋にはフェンタニル、麻薬の器具、複数男性との行為写真…相次ぐ悲報に批判高まる〈地球上で最悪の物質〉〈毎日200人超の米国人が命を落とす〉
NEWSポストセブン
和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
「プラトニックな関係ならいいよ」和久井被告(52)が告白したキャバクラ経営被害女性からの“返答” 月収20〜30万円、実家暮らしの被告人が「結婚を疑わなかった理由」【新宿タワマン殺人・公判】
NEWSポストセブン
山下市郎容疑者(41)はなぜ凶行に走ったのか。その背景には男の”暴力性”や”執着心”があった
「あいつは俺の推し。あんな女、ほかにはいない」山下市郎容疑者の被害者への“ガチ恋”が強烈な殺意に変わった背景〈キレ癖、暴力性、執着心〉【浜松市ガールズバー刺殺】
NEWSポストセブン
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
「意識が朦朧とした女性が『STOP(やめて)』と抵抗して…」陪審員が涙した“英国史上最悪のレイプ犯の証拠動画”の存在《中国人留学生被告に終身刑言い渡し》
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン