あまねく人材に応募はさせるものの、説明会に参加させる人は限定的にしよう、とか、有名大学の学生を対象にインターンをやらせるとか、リクナビ・マイナビを使わずいかに直接アプローチするかということを企業は考えています。
もちろんインターネットの普及もこの問題に影響しています。ネット炎上文脈と重なりまして、「そんなの許されないよ!」「いや、あるだろ」といった意識が表明され、広がっていったのです。
こういったことをするのは人気企業だけなのか? そうではないでしょう。たとえば、「常見商事」という小さな会社があったとします。その会社だって「誰でもいい」とはなりませんよね。人を育てる余裕がないとしたならば、よりマナーがよく、地頭が良さそうな学生を採りたいでしょ? となれば、小さな会社であっても上位校の学生にいかにアプローチするかを考えるのです。
全体では約6割の企業がターゲット校を設定しています。300名以下の会社であってもいわゆる「ターゲット校」を設定していることはあります。ターゲット校を1校から10校に絞っているのが300名以下の企業で約8割。1000名以上だと32%となっています。たとえば、成長しているITベンチャーだったら、すぐにプログラミングができる人材が欲しいのですよ。だったら東大で、学生時代からアプリを作っていたような学生をなんとか口説きおとして取ろうとする。意外に人数少ない会社のターゲットって、そうなっているのです。
よく、大手は差別していない――と反論するデータがあります。就職四季報などを見ると、様々な大学から大手に入っているように見えます。これのカラクリは、女性の一般職、理系、コネです。理系は、旧帝大クラスに限ると採用できる難易度が高くなっています。でも、帝大ではない国立もけっこう大手企業には入っています。MARCHクラスで大手に一杯入っていますが、これは大量採用しがちな金融機関のしかも一般職、特定総合職が多いのですね。だからこそ、「多様な大学から採用している金融っていいじゃん」と思うかもしれませんが、ここでも女性が「特定総合職」という形で入っていたりもする。あと、コネはあります。
結局企業が学歴差別をするのは、絞り込む時の合理性にあります。ド底辺大学でも優秀な学生はいるだろう、東大でもバカはいるだろう、とネットではこういった反論が寄せられます。でも、採用する側からすると絞り込む時に大学名って便利なんですよね。そもそも、採用する側の人事部が高学歴化する傾向があります。IT、大手企業は、ピッカピカの高学歴な人を人事に入れてくる。そういう人でないと頭のいい人は口説けないってのもあるからでしょう。