国内

NHK前経営委員 籾井氏の独裁を許してしまった核心に迫る

 何かと舌禍騒動を起こし、挙句の果てには会長就任まで「NHKのことを何も知らなかった」と発言したNHKの籾井勝人会長について、会長を任命し監督する経営委員会はどう見ているのか。2月まで委員長代行を務めた上村達男・早稲田大教授が、籾井問題の核心に迫った。

 * * *
 NHK会長は、およそ近代国家ではあり得ないほどの独裁的地位に陥りやすい構造となっている。今回、“変な人”が会長についたことによって、この問題が顕在化した。

 籾井会長については、議論ができないという点が問題だと感じている。例えば、国会では紙を読むだけ。質問に対して、一字一句をそのまま読むだけ。そして、それでは済まない場合には、民主党との会合のように、怒鳴り出す。

 周りを敵と味方に分類し、敵の主張はあくまで無視する。議論ができないことが、経営委員会でも揉める原因となった。だが、経営委員会には籾井会長を止める力がなかった。

 企業を例にとれば、私が務めていた経営委員会は社外取締役で、会長に副会長・理事を加えた理事会が取締役会に相当する。

 本来は取締役会である理事会が、トップである会長の独断を制限する立場にあるはずだが、実際には理事会は単なる審議機関に過ぎず、会長はその判断を、極端に言えば無視することも可能。理事会の判断に従う必要がない。

 そこで経営委員会が必要になるわけだが、通常の社外取締役が他企業の経営者など経営に関する専門性を有する人が担うのに対し、NHKの経営委員のほとんどは、そうした専門性を持っていない。しかも経営委員会には、ほとんど情報が入らない。

 そのため、こんなことも起きた。理事の任命は、経営委員会の同意を得た上で、会長が任命することとなっており、昨年4月22日の経営委員会で、籾井会長は理事の再任と新任を求めてきた。

 ところがその際、どの理事が何を担当するかを明らかにしなかった。私はそのとき、委員長代行を務めており、その点を尋ねたが、籾井会長は、各理事の担当は会長が決めることなので、経営委員会に知らせる必要はないと述べた。

関連キーワード

トピックス

参院選の東京選挙区で初当選した新人のさや氏、夫の音楽家・塩入俊哉氏(時事通信フォト、YouTubeより)
「結婚前から領収書に同じマンション名が…」「今でいう匂わせ」参政党・さや氏と年上音楽家夫の“蜜月”と “熱烈プロデュース”《地元ライブハウス関係者が証言》
NEWSポストセブン
7月6~13日にモンゴルを訪問された天皇皇后両陛下(時事通信フォト)
《国会議員がそこに立っちゃダメだろ》天皇皇后両陛下「モンゴルご訪問」渦中に河野太郎氏があり得ない行動を連発 雅子さまに向けてフラッシュライトも
NEWSポストセブン
参院選の東京選挙区で初当選した新人のさや氏、経世論研究所の三橋貴明所長(時事通信フォト)
参政党・さや氏が“メガネ”でアピールする経済評論家への“信頼”「さやさんは見目麗しいけど、頭の中が『三橋貴明』だからね!」《三橋氏は抗議デモ女性に体当たりも》
NEWSポストセブン
かりゆしウェアをお召しになる愛子さま(2025年7月、栃木県・那須郡。撮影/JMPA) 
《那須ご静養で再び》愛子さま、ブルーのかりゆしワンピースで見せた透明感 沖縄でお召しになった時との共通点 
NEWSポストセブン
参院選の東京選挙区で初当選した新人のさや氏(共同通信)
《“保守サーの姫”は既婚者だった》参政党・さや氏、好きな男性のタイプは「便利な人」…結婚相手は自身をプロデュースした大物音楽家
NEWSポストセブン
松嶋菜々子と反町隆史
《“夫婦仲がいい”と周囲にのろける》松嶋菜々子と反町隆史、化粧品が売れに売れてCM再共演「円満の秘訣は距離感」 結婚24年で起きた変化
NEWSポストセブン
注目度が上昇中のTBS・山形純菜アナ(インスタグラムより)
《注目度急上昇中》“ミス実践グランプリ”TBS山形純菜アナ、過度なリアクションや“顔芸”はなし、それでも局内外で抜群の評価受ける理由 和田アキ子も“やまがっちゃん”と信頼
NEWSポストセブン
参院選の東京選挙区で初当選した新人のさや氏、夫の音楽家・塩入俊哉氏(時事通信フォト、YouTubeより)
《実は既婚者》参政党・さや氏、“スカートのサンタ服”で22歳年上の音楽家と開催したコンサートに男性ファン「あれは公開イチャイチャだったのか…」【本名・塩入清香と発表】
NEWSポストセブン
中居、国分の騒動によりテレビ業界も変わりつつある
《独自》「ハラスメント行為を見たことがありますか」大物タレントAの行為をキー局が水面下でアンケート調査…収録現場で「それは違うだろ」と怒声 若手スタッフは「行きたくない」【国分太一騒動の余波】
NEWSポストセブン
かりゆしウェアのリンクコーデをされる天皇ご一家(2025年7月、栃木県・那須郡。撮影/JMPA) 
《売れ筋ランキングで1位&2位に》天皇ご一家、那須ご静養でかりゆしウェアのリンクコーデ 雅子さまはテッポウユリ柄の9900円シャツで上品な装いに 
NEWSポストセブン
定年後はどうする?(写真は番組ホームページより)
「マスメディアの“本音”が集約されているよね」フィフィ氏、玉川徹氏の「SNSのショート動画を見て投票している」発言に“違和感”【参院選を終えて】
NEWSポストセブン
スカウトは学校教員の“業務”に(時事通信フォト)
《“勧誘”は“業務”》高校野球の最新潮流「スカウト担当教員」という仕事 授業を受け持ちつつ“逸材”を求めて全国を奔走
週刊ポスト