ネット上で右翼思想を展開する、いわゆるネトウヨは街頭で外国人に対しヘイトスピーチを繰り広げるなど差別的な言動で社会問題化している。近藤容疑者もそのカテゴリーに入るとの証言だが、警察の見立てとは少し異なるようだ。
A氏によれば、近藤容疑者は神奈川県出身。地元の高校を卒業後、アルバイトなどを経て2000年頃、都内の出版社に広告営業社員として採用された。A氏はその頃、仕事を通じて容疑者と知り合ったという。
「人懐っこくて愉快な人でした。お互いパンクロックや青春映画が好きで、趣味の話でよく盛り上がりました。ただ肝心の仕事は、営業力が高いほうではなかったのでうまくいってなかった。“俺はこの程度の人間じゃない”が口癖でした」
この出版社は2年弱で辞め、その後は職を転々とした。キャバクラの従業員や芸能事務所を経営した時期もあったとA氏はいう。
「アイデアや人を巻き込む力はありました。私も“一緒に投資ビジネスをしよう”と誘われたことがあります。しかし、どれも成功したとはいえず、次第に人も離れていきました」
この頃から、社会への不満を爆発させるようになり、その捌け口としてインターネットが使われた。自身のブログなどで日本の政治家らを批判。数年前からは韓国や北朝鮮の人々に対して〈二度と日本に来るな!〉と怒りをぶつけていた。
「変わり始めたのはネットの掲示板によく書き込むようになってから。そこで入手した情報で、政治家や韓国を批判していました。〈韓国と北朝鮮が戦争をする〉など、根拠のない情報をメールで送ってくることもあった」(A氏)
警察発表では無職とされたが、近藤容疑者はA氏に「今は広告代理店を経営している」と語っていた。その後、各所に話を聞いてみると、容疑者が経営していたとされる会社には実体がなかった。
※週刊ポスト2015年5月1日号