ビジネス

美容師が男性をカットするのはNG 厚労省と業界団体の屁理屈

 髪をカットするのに、理容室ではなく美容院に行く男性は決して珍しくない。ある調査によると、20~64歳男性の美容院利用者は45.7%に上っている(リクルートライフスタイル調べ)。新聞の首相動静欄によれば、安倍晋三首相もその1人だ。私も美容院に行く。

 ところが厳密に言うと、いまの法律の建前では、男性が美容院で髪をカットするのは違法になるおそれがある。なぜかというと、厚生労働省が美容師法と理容師法の運用について、局長通知で美容院では「女性はカットしてもいいが、男性はパーマなど美容行為の一環でなければダメ」と規制しているからだ。

 男性はパーマをしなければ美容院でカットしてはいけない規制が本当に残っているのだ。ばかげた話である。

 この問題は昔から一部で知られていたが、1000円カットで有名になったQBハウスという会社が規制改革会議に美容師と理容師の混在勤務を認めるよう要望して、あらためて浮上した。

 QBハウスは美容師も理容師も雇っている。ところが法律は美容院と理容室を区別して届け出なければならず、混在している店舗はガラス壁を設けて区別している。

 お客にしてみれば、美容師だろうと理容師だろうと髪を切ってくれればいい。べつにガラス壁など必要ない。重複届けと混在勤務を認めてくれれば、理容師が辞めたとしても、すぐ美容師で補充できるから生産性が落ちない。美容師も理容室で働けるようになって(その逆も可能)、地方などで雇用の機会も増えるという主張である。

 ところが、厚労省は規制改革会議で次のような理屈で抵抗した。「混在勤務を認めたら、ヒゲ剃りを希望するお客に美容師がヒゲを剃ってしまうリスクがある。それは違法だ。美容師が短髪を刈り込んだら、客を虎刈りにしてしまうおそれもある」

 資格がないのに間違ってヒゲを剃ってしまう美容師など本当にいるのか。美容師は短髪を刈り込む技術を学んでいないから虎刈りになるのだそうだ。そんな店には客が来なくなるだけだ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

ブラジルを公式訪問されている秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年6月4日、撮影/JMPA)
「佳子さまは大学院で学位取得」とブラジル大手通信社が“学歴デマ報道”  宮内庁は「全報道への対応は困難。訂正は求めていません」と回答
NEWSポストセブン
花田優一が語った福田典子アナへの“熱い愛”
《福田典子アナへの“熱い愛”を直撃》花田優一が語った新恋人との生活と再婚の可能性「お互いのリズムで足並みを揃えながら、寄り添って進んでいこうと思います」
週刊ポスト
生成AIを用いた佳子さまの動画が拡散されている(時事通信フォト)
「佳子さまの水着姿」「佳子さまダンス」…拡散する生成AI“ディープフェイク”に宮内庁は「必要に応じて警察庁を始めとする関係省庁等と対応を行う」
NEWSポストセブン
麻辣湯を中心とした中国発の飲食チェーン『楊國福』で撮影された動画が物議を醸している(HP/Instagramより)
〈まさかスープに入れてないよね、、、〉人気の麻辣湯店『楊國福』で「厨房の床で牛骨叩き割り」動画が拡散、店舗オーナーが語った実情「当日、料理長がいなくて」
NEWSポストセブン
まだ重要な問題が残されている(中居正広氏/時事通信フォト)
中居正広氏と被害女性Aさんの“事案後のメール”に「フジ幹部B氏」が繰り返し登場する動かぬ証拠 「業務の延長線上」だったのか、残された最後の問題
週刊ポスト
50歳で「アンパンマン」を描き始めたやなせたかし氏(時事通信フォト)
《巨大なアンパンマン経済圏》累計市場規模は約6.6兆円…! スパイダーマンやバットマンより稼ぎ出す背景に「ミュージアム」の存在
NEWSポストセブン
保護者を裏切った森山勇二容疑者
盗撮逮捕教師“リーダー格”森山勇二容疑者在籍の小学校は名古屋市内で有数の「性教育推進校」だった 外部の団体に委託して『思春期セミナー』を開催
週刊ポスト
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《ブログが主な収入源…》女優・遠野なぎこ、レギュラー番組“全滅”で悩んでいた「金銭苦」、1週間前に公表した「診断結果」「薬の処方」
NEWSポストセブン
新宿・歌舞伎町で若者が集う「トー横」
虐待死の事例に「自死」追加で見えてきた“こどもの苛烈な環境” トー横の少女が経験した「父親からの虐待」
NEWSポストセブン
京都祇園で横行するYouTuberによる“ビジネス”とは(左/YouTubeより、右/時事通信フォト)
《芸舞妓を自宅前までつきまとって動画を回して…》京都祇園で横行するYouTuberによる“ビジネス”「防犯ブザーを携帯する人も」複数の被害報告
NEWSポストセブン
ホストクラブや風俗店、飲食店のネオン看板がひしめく新宿歌舞伎町(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」のもとにやって来た相談者は「女風」のセラピスト》3か月でホストを諦めた男性に声を掛けた「紫色の靴を履いた男」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 万引き逮捕の350勝投手が独占懺悔告白ほか
「週刊ポスト」本日発売! 万引き逮捕の350勝投手が独占懺悔告白ほか
NEWSポストセブン