ところが今は、三つの地域ごとに分散型の町おこしを行なっており、鉄道や高速道路も細切れで海岸全体を想定したつくりになっていない。まさに「宝の持ち腐れ」だ。九十九里浜はゴールドコーストをモデルに、従来の日本型海水浴場ビーチの発想を排除して国際的ビーチリゾートを目指すべきである。
具体的にはPFI(※Private Finance Initiative、公共施設の建設、維持管理、運営などを民間の資金や経営ノウハウで行なう手法)によって民間資金を活用し、世界の一流リゾートデベロッパーを招致して、九十九里浜全体を統一コンセプトで開発しなければならない。交通アクセスについても、高速道路と鉄道を延伸し、首都圏からの直通を可能にする必要がある。
本当に地域が繁栄するためには、少なくとも5万人、できれば10万人規模の若い移住者が必要だと思う。そうでないと、幼稚園や学校、文化的な施設、商店、レストランなどの生活インフラが整わないからだ。10万人なんて無理だと思うかもしれないが、ゴールドコーストの人口は半世紀の間にわずか2500人から60万人に増えている。大きな構想を持って本気で取り組めば、決して難しくないはずだ。
※週刊ポスト2015年5月8・15日号