「この女性は現社長A氏(放送当時は取締役)の奥さんの母親、つまりA氏の義理の母です。マッサージチェアが搬入された家は奥さんの実家です。私はお助け本舗を紹介する別の番組のロケで何回かこの家を訪れていたのですぐにわかりました」
番組では同社スタッフが3人がかりでマッサージチェアを2階の窓から室内へ搬入。依頼主の女性は大がかりな作業に驚きつつも、最後はマッサージチェアに腰かけてご満悦だった。そのシーンには「ようやく届いた娘さんの気持ち。お母さん、うれしそう」とナレーションが入った。
親孝行を便利屋が手助けした心温まるシーンだが、依頼者が社長の義母となると、果たしてドキュメンタリーと呼べるか疑問が湧く。
「放送から1週間ほど経った頃、『あれ、奥さんの実家だろ』とA氏を問い詰めたんです。するとA氏は『相談役のBからやれっていわれた』と答えました。『マッサージチェアは誰が買ったんだ?』と聞いたら、『会社で買いました』と。やらせを確信しました」(坂本氏)
坂本氏が指摘する疑惑のシーンは他にもあった。密着初日の12月5日午後11時、ある女性が「もしもし、お風呂にナメクジがいるんです。それを取っていただきたいんですけど!」と切羽詰まった様子で電話をかけてきた。
スタッフが現場に急行すると、真新しいバスタブに小さなナメクジが2匹へばりついていた。すかさずスタッフがティッシュペーパーでナメクジを捕獲し、あっという間に業務終了。
「37歳・会社員」という依頼主は、NHKの撮影スタッフに「どうですか、ナメクジ2匹に6800円って?」と問われ、「私取れないもん。助かりました、アハハ」と笑顔で応じていた。