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65歳以上の6割罹患の高血圧 高齢者服用でリスク増す薬あり

 4月1日、日本老年医学会は「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2015(案)」を公表した。同学会は2005年に作成した医療従事者向けのガイドラインの10年ぶりとなる改訂作業を進めており、一般からの意見募集を経て6月に正式決定する予定だ。

 公表されたガイドライン案の中には、高齢者が「中止を考慮するべき薬物」のリストが含まれ、47種類の医薬品とその使用法が挙げられている。対象となる高齢者が特定の疾患を抱える人に限られるものもあるが、「すべての高齢者」が使用中止を考慮すべきとされる薬も少なくない。

 例えば、日本では65歳以上の人の約60%が患っているとされる高血圧。その診断に用いられる基準値が厳しすぎる問題については本誌でも繰り返し報じてきたが、加齢とともに血圧は自然に高くなるため、治療薬がどんどん処方されているのが現状だ。

 リスト中で血圧を下げる作用のある薬は「受容体サブタイプ非選択的α1遮断薬」「ループ利尿薬」「非選択的β遮断薬」の3種類がある。東京薬科大学薬学部・加藤哲太教授が説明する。

「テラゾシン、プラゾシンといったα1遮断薬は、交感神経のはたらきを弱めて血管を広げ、血圧を下げます。またフロセミドなどのループ利尿薬は、尿をたくさん出させることで血液の量を減らし血圧を下げます。

 いずれも高齢者の場合、代謝する力が落ちて薬が効きすぎる危険がある。これら2タイプの場合、低血圧を招いて立ちくらみを起こし、転倒事故につながるリスクが高くなります。

 プロプラノロールなどのβ遮断薬は心拍数を落として血圧を下げる薬です。こちらも薬効が強く出すぎると、心臓以外の臓器、肺などに作用して呼吸器疾患を悪化させるリスクが指摘されています」

※週刊ポスト2015年5月22日号

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