見た目も独特なスタイルのピスタチオ
伊地知:相方に「気持ち悪いな」ってずっと言っていたんです。小澤はノンスタイルさんやナインティナインさんに憧れているので、ポップな感じの売り方をしたがって。この見た目なのに。ポップじゃない人たちが、ポップなことをしようとしても受けないですよ。
そうするうちに、ぼくはホスト業にのめり込みまして。お笑い1ホスト9の生活になりまして。ほぼホストのやつと、ポップじゃないのにポップをやろうとしている奴が組んで、売れるわけがないんですよ。キャラものみたいなのもやりまくって、やりつくしたから、じゃあ解散しましょうとなったんです。
小澤:それで3年前、最後のライブの30分前に、今の形が決まったんです。スゲー仲が悪かったんです、解散ぎりぎりの当時。相方はホストなので、ネタ合わせで来ても、寝てる、二日酔い、営業メール。お笑いもしらないので、ネタも作らない。遅刻してきてすぐ帰るみたいな感じで、やる気ないじゃんってなってたんですね。じゃあ解散しようと。
滑ろうがウケようが今日で最後だし、何でもやろうと。それで本番30分くらい前に書いたネタの設定がおかしくて。「男の人なのに妊娠しました」というネタで、設定が変なのに普通に話していてもちょっとな、という話から、このキャラクターができた。じゃあ白目むいてみようかとか、気持ち悪い七三分けにしてみようかとか、喋り方変えてみようかとなっていって。
伊地知:こいつを俺、面白いと思ったこと一度もなかったんです。こいつのボケで一度も笑ったことがなかった。だけどこのキャラを小澤に与えたところ、「この面白い生物はなんだ!?」って、腹かかえて笑っちゃって。近くにいて笑ったことがないぼくが、これだけ小澤を見て笑うってことは、絶対お客さんは笑うだろうと思って。
そうしたらお前もやれって小澤が言ってくるので、じゃあ俺もやってやると。それで「どうも」って舞台に出たのが、ほぼ今の形です。それで出たら、当時のぼくらからしたら、尋常じゃないくらいウケまして。一切ボケてないんですよ、登場してマイクまで行く前に、とんでもない笑いが来まして。悲鳴というか、「キャー、気持ち悪い!」って言われて。その瞬間ズバッと心が射抜かれちゃいまして。歓声というか、気持ち悪いという声に「おれ芸人なんだ」ってその時実感したんです。
小澤:舞台をはけた後、解散だったので「もう終わりだね」って話になるはずなんですけど、「次いつネタ合わせにする?」って。解散の話がなかったかのように、お互い一切解散って口にしないんですよ。それで今に至る。
伊地知:奇跡みたいな話ですけど、今こうなっているのは運命だったんだと思いますね。
――現在、お互いの印象は変わりました?
小澤:悪い部分はありますよ、いい年こいて落ち着いてくれというのはあるし。でもやっぱり、お笑いはすごいので。ホストではNo.1という結果を出していて、その熱意が今はお笑いのほうに傾いて、仕事とかもいただけるようになったので。そこはすごいなと思います。
伊地知:今でも気持ち悪いと思ってますし、女々しい、イライラする、というのは悪い部分で。でもピスタチオは小澤ありきだと思っているので、感謝してます。
【ピスタチオ】
東京NSC13期生として出会った伊地知大樹(30才)と小澤慎一朗(26才)の2人により、2010年4月にコンビを結成。2014年末放送の『アメトーーク! 』(テレビ朝日系)パクリたい-1グランプリで優勝。独特の喋りと白目が印象的なキモキャラ芸人として、ブレイク。伊地知は歌舞伎町の元ホストでNo.1の経歴がある。ヨシモト∞ホールにて発動中!
撮影■田中麻以