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逆流性食道炎に新薬登場 重症例にも投与早々から効果が期待

 食生活の欧風化や高齢化などにより、逆流性食道炎が増えている。胸やけやゲップなどの症状や、食道のびらん・潰瘍などをひき起こす。従来より、胃酸を抑制するPPI(プロトンポンプ阻害剤)が使われてきたが、効果が出るまでに時間がかかったり、個人差があった。今年、強力に胃酸を抑制する新薬が登場した。重症例にも投与早々から、効果が現われるのでは、と期待されている。

 胃食道逆流症(GERD)は、胃酸が食道まで逆流して粘膜を刺激することにより、胸やけやゲップ、胸の痛みなどの症状が起こる。内視鏡で検査すると、胃酸によって食道にびらん・潰瘍が認められる逆流性食道炎と、症状があっても食道に変化がない非びらん性胃食道炎の2種類がある。近年、食生活の欧風化で胃酸分泌の増加や肥満、ピロリ菌の感染率低下による胃酸量の増加と高齢化などの要因で患者が増えている。

 GERDの治療薬としては、1990年代に登場したPPI(プロトンポンプ阻害剤)が使われている。胃壁細胞にある胃酸分泌を行なうプロトンポンプの働きを抑制する薬だ。国立国際医療研究センター病院消化器内科の秋山純一診療科長に話を聞いた。

「逆流性食道炎は、食道の炎症の程度により、ABCDの4段階に分けられます。治療薬であるPPIは、胃酸の分泌を抑えることで症状を緩和します。既存のPPIによる治療で軽症のグレードAやBでは、85~92%で効果が得られますが、より重症のグレードCは80%、Dでは約70%しか効果が得られません」

 既存のPPIは、小腸で吸収されたのち、胃酸による活性化が必要なため、効果が出るまでに、ある程度時間がかかる。また、肝臓の酵素により代謝を受けて活動が妨げられるが、この酵素量には個人差があるため、効き目が一定ではない。日本人の約70%は、この酵素が多く、既存のPPIが効きにくい遺伝子型であるという報告もある。

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