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元徴用工の補償問題は日韓協定で解決済 韓国政府が責任負う

 6月24日。韓国の光州高裁で、三菱重工業に戦時中に朝鮮半島から徴用され、名古屋の軍需工場などで働かされたという韓国人女性と遺族5人に総額は5億6208万ウォン(約6285万円)の賠償金支払いを命じる判決が下された。

 韓国では元徴用工やその遺族が、戦時中に徴用した企業の流れを汲む日本企業を相手に、賠償請求訴訟を乱発している。

 呼び水となったのは、2012年5月の韓国大法院(最高裁判所)判決だ。元徴用工や遺族9人による新日鉄(現・新日鉄住金)と三菱重工を相手取った訴訟で、原告の請求権を認める判決を下したのである。

 これをきっかけに訴訟が次々に起こされ、2013年7月には、ソウル高裁と釜山高裁がそれぞれ日本の企業に賠償責任を認める判決を出した。今年4月には、これまでで最大規模となる元徴用工や遺族ら約670人による、日本企業70社を相手取った損害賠償請求訴訟が起こされた。冒頭で記した光州高裁の判決も、この流れを汲むものだ。

 はっきりさせておくが、元徴用工に対する補償問題は日韓請求権協定で解決済みである。

 まさに50年前、日本が韓国に対し、無償3億ドル・有償2億ドルの計5億ドル、さらに民間融資として3億ドルの経済支援をする代わりに、韓国は個人・法人の請求権を放棄するという協定が結ばれた。協定の第2条1項では請求権に関する問題が「完全かつ最終的に解決されたこととなることを確認する」と明記されている。

 しかもこの協定は韓国側が望んだものなのだ。韓国問題に詳しい東京基督教大学の西岡力教授が解説する。

「当初、日本政府は韓国人の元徴用工に対しても、直接的に個人補償することを提案していました。元日本兵などにはそれ相応の年金などが出ていますから、韓国人についても相当するものを当該の個人に払いたいとしていたのです。

 ところが、韓国側がそれを拒否して、政府に一括して支払うことを要求した経緯があります」

 それは外交記録にも明確に残されている。つまり、日本政府からの経済支援金を使って、韓国政府が元徴用工らへ補償を行なうはずだったのだ。

※週刊ポスト2015年7月10日号

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