浴衣男子の増加は季節の風物詩として目にも楽しいが、気になることも。裾が大きく広がり、まるでスカートのようになっている男性が少なくないのだ。前出の鈴木さんは「帯の位置が高すぎるのが原因でしょう」という。
男性の場合、帯は腰骨の真上で締めるものなのだが、洋服のベルトと同じようにヘソの上に締めてしまい、それでは裾が広がるなど着くずれしやすい。帯は前を下げ後ろに上げて締めれば粋な着こなしとなるが、平行に締めてしまう人が少なくない。日常生活で着物に接する機会が少なくなっただけでなく、テレビ等で放送される時代劇ドラマが消えて久しいため、着物の粋な着こなしを見かけなくなった影響も大きい。
「来店される方に無料で行なっている着付けサービスのとき、必ず“所作”についてもレクチャーしています。たとえば、お手洗いを利用するときに着くずれしないコツなどをお伝えします。洋服と同じ感覚で歩幅を大きくしていると、着崩れしやすいのが着物です。でも、少しの工夫と慣れで浴衣をきれいに楽しめるようになりますよ」(前出・鈴木さん)
帯の位置が高すぎる男性の着付けは、いつも渦巻き模様の着物を胸下で締めている赤塚不二夫のギャグマンガ『天才バカボン』の主人公バカボンと同じだ。子どもであればかわいらしいが、大人の浴衣男子であれば、ぜひとも粋な着こなしを見せてほしい。