そして2013年2月の田中久雄・現社長(家電系)の就任につながる。この時、新たに「副会長」ポストが設けられ、佐々木則夫氏(インフラ系)が就任した。経団連会長の必須条件である「社長」でも「会長」でもない。そこに西田氏の“意地”が見て取れると、前出のジャーナリストは語る。
「わざわざ副会長という職を新設して西田氏は会長に留まった。その後、2014年6月に役員定年で相談役に退く際には会長の座を家電閥の室町正志氏(当時、取締役)に譲った。室町氏は社長経験がなく、佐々木氏を飛び越える形での会長就任だった。佐々木氏にだけは財界総理の座は絶対に譲らないという西田氏の思いが透けて見えます」
そう考えると「一発目」の証券取引等監視委員会(SESC)への内部通報も、佐々木氏を引きずり下ろそうとした「社内抗争」の一環と見ることができる。
SESCからの指摘を大義名分に「佐々木社長時代のカネを洗え!」とばかりに“家電閥”(その多くは現社長派)が仕掛けたのだとすれば、それは西室氏が社長に就任した1996年から今まで続いてきた東芝の「20年派閥抗争史」の暴発といえよう。
※週刊ポスト2015年7月31日号