さらなる追い風も吹いている。同じく角界の「一大勢力」となった、モンゴル人力士軍団も、今や貴乃花側につこうとしているのだ。
その“頭領”は、いわずとしれた横綱・白鵬である。
最近の白鵬は協会に対する敵意を露わにしている。今年の初場所後に「審判への不信」を表明して問題になるなど素行の悪さが目立つ。これは白鵬が望む「モンゴル人として親方になる」希望を、協会がことごとく突っぱねてきたことと無縁ではないとされている。
「協会の規則では、親方になるためには日本国籍が必要。一代年寄でも同じことです。しかし白鵬は、数字上は一代年寄になれる条件を文句なく満たしており、“例外”を認めてもいいのではないかという意見があるのも事実。しかし北の湖理事長はNOを貫く立場を崩さない。それで白鵬が心を閉ざすようになってしまったといわれています」(相撲ジャーナリスト)
が、改革派の貴乃花理事長なら……という見方が浮上しているというのだ。
「貴乃花親方自身は白鵬に理解を示しているといわれるし、モンゴル人力士たちにとっても貴乃花は敵対する相手ではない。カギになるのは先日引退し、年寄・大島を襲名した旭天鵬です。
旭天鵬は今場所の優勝パレードで白鵬の旗手を務めた。白鵬は彼を兄貴分として心から信頼しており、いうことはしっかりと聞く。実は旭天鵬は有力な貴乃花シンパの1人。師匠の大島親方(元大関・旭國)が先代の貴ノ花親方の親友で、弟子同士も交流があった。この旭天鵬や白鵬を筆頭に、モンゴル勢全体が貴乃花の応援に回る可能性がある。そうなれば執行部にも土俵上にも、貴乃花理事長を阻むものは何もない」(同前)
すべては北の湖理事長の病状次第か。貴乃花理事長誕生へのカウントダウンが始まった。
※週刊ポスト2015年8月14日号