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有効な手段なかった意識障害に認知症薬で劇的な回復例を確認

 くも膜下出血や脳出血、脳梗塞などの脳卒中、交通事故による頭部外傷などの術後、原因となる病気の治療はできても、意識障害が残ることがある。意識障害は昏睡(寝たきり)だけでなく、周囲の刺激に対して反応がない、人が変わったように暴れ出す「せん妄(もう)」などの症状も含まれる。

 治療は脳内のアセチルコリンを増やすシチコリン(脳代謝改善薬)など、脳を賦活(ふかつ)させて意識の回復を目指すことが行なわれる。また、脳内に電極を埋めて電気刺激を行なうこともある。しかし、これで回復しなければ、治療の手段がないというのが現状だ。

 誠弘会池袋病院(埼玉県川越市)脳神経外科平川亘副院長に話を聞いた。

「脳外科医にとって、脳の術後は意識障害との戦いといっても過言ではありません。私は脳外科医ですが、一方で地域の認知症患者の診察も多く行なっています。意識障害と認知症は症状こそ違いますが、脳の働きが落ちている点は同じです。そこで意識障害の患者に脳のアセチルコリンを増やす認知症治療薬(コリンエステラーゼ阻害薬)を使えば、意識を改善させられるのではないかと考えました」

 保険承認の「コリンエステラーゼ阻害薬」は、ドネペジル、ガランタミン、リバスチグミンの3種で、リバスチグミンは貼り薬、他2種は経口薬だ。実は、認知症の一種のレビー小体型認知症の重症例は、言葉がしゃべれない、覚醒が悪く幻覚を見るといった意識障害に似た症状がある。

 これらの重症例に対し、リバスチグミンを貼ると動けなかった人が歩ける、言葉がしゃべれなかった人が家族とコミュニケーションを取れるようになった例が報告された。

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