投資情報会社・フィスコ(担当・村瀬智一氏)が、株式市場の8月10日~8月14日の動きを振り返りつつ、8月17日~8月21日の相場見通しを解説する。
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先週の日経平均は波乱の展開となった。前週からのリバウンド基調が継続していた日経平均は、11日には20946.93円まで上げ幅を拡大させており、6月24日につけた年初来高値20952.71円に迫る局面もみられた。しかし、中国人民銀行が、人民元の対ドルの基準値(中間値)を大幅な元安・ドル高水準に決めたことをきっかけに急速に値を消す格好となった。
これが翌日の欧米市場への混乱にもつながり、欧米市場の下落影響から一段安。さらに中国人民銀行が連日で人民元の切り下げを行うなか、12日の日経平均は一時20300円割れ寸前まで下押す局面もみられた。その後は中国人民銀行の幹部が「元切り下げは一時的な措置で、将来は元高トレンドに戻る」と発言したことなどもあり、次第に落ち着きを取り戻す中、下げ渋りをみせていた。
今週は日米の金融政策に対する思惑が高まりやすく、これに関連した物色に向かわせやすいだろう。週明け17日に2015年4-6月期の国内総生産(GDP)速報値が発表される。予想は前期比年率1.8%減と3四半期ぶりのマイナス成長になると見込まれている。予想通りのマイナス、若しくは予想を下回ってくるようだと、日銀による追加の緩和期待が高まりやすいだろう。
一方、米国では米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録が公表される。市場では圧倒的多数が、米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ開始を9月と予想している。議事録の内容等を受けて、一段と9月利上げへの見方が強まるかが注目される。そのほか、8月の米ニューヨーク連銀製造業景況指数、7月の米住宅着工件数、7月の米消費者物価指数、7月の米中古住宅販売件数などの発表もあるため、相場の変動要因になりそうだ。
決算シーズンも通過したことから、個別物色というよりは、セクターやテーマ等で動きやすいだろう。追加緩和期待が高まるようだと、不動産や銀行、ノンバンクなどへ関心が向かいやすい。また、中国が落ち着きをみせてくるようだと、鉄鋼や鉱業、石油石炭、機械といった素材・資源関連への見直しも意識される。その他、7月の訪日外国人客数が発表される。中国株急落の影響がなければとの見方となれば、インバウンド関連への物色が再燃しやすいだろう。