国際情報

「声の整形」韓国の歌手・アナウンサー志望者、就活生に人気

 整形大国・韓国では、声の整形が流行中だ。ただし、その目的は、美ではなく、うまく声の出ない状態を脱するための「治療」だ。ソウル市内の耳鼻咽喉科『イェソン音声センター』のキム・ヒョンテ院長は言う。

「声の整形には、もともとの声質などに応じてさまざまな治療方法があります。例えば、声帯が麻痺して、声がかすれる場合には、生体保形物質を注射で注入して声帯のボリュームを回復させます。また声帯の筋肉が痙攣して声が震える症状の場合は、その部分にボトックス注射をして症状を抑えます。どちらの場合も、皮膚にメスを入れる必要はないので、傷跡は残りません」

 韓国では、治療方法のひとつ、ボトックス注射を行う人が増えているという。

「費用は30万~40万ウォン(約3万~4万円)が相場です。時間は10分から20分と短い。注射の効果は長くは続かないので、1、2か月ごとに打ち直さないといけません」(医師で医療ジャーナリストの森田豊さん)

 変えた声を保ち続けるには、費用も手間もかかるが、この整形を望む人は後を絶たない。

「性転換を希望する男性が受けるケースが多い。低い声を高くすることで、より女性らしくなれるんです」(韓国在住の整形コーディネーター・チョウ・ウネさん)

 さらに、近年では、そうした事情とは別の理由で整形する人が増加中だ。

「歌手やアナウンサー志望者が声をきれいにするために施術します。また最近は就職活動中の若者も受けています」(森田さん)

 就職難が深刻化している韓国では、就職のための顔の整形は当たり前。面接官に好印象を与えるための、口角を上げるプチ整形、通称「微笑み整形」が一般化しつつある。内定を勝ち取るため、顔に続いて、声も整形するというわけだ。

 とはいえ、実際に整形を受けるにあたっては、声の治療や経験の少ないドクターの施術を受けない、などの注意が必要だ。

「最悪の場合、声が出なくなることもあります。病院選び、手術の危険性などをしっかり勉強する。気軽な気持ちで受けてはいけません」(森田さん)

 声の悩みを解決するための整形が新たな声の悩みを生む――などということのないように、慎重になるべきだろう。

※女性セブン2015年9月10日号

関連記事

トピックス

今季から選手活動を休止することを発表したカーリング女子の本橋麻里(Xより)
《日本が変わってきてますね》ロコ・ソラーレ本橋麻里氏がSNSで参院選投票を促す理由 講演する機会が増えて…支持政党を「推し」と呼ぶ若者にも見解
NEWSポストセブン
白石隆浩死刑囚
《女性を家に連れ込むのが得意》座間9人殺害・白石死刑囚が明かしていた「金を奪って強引な性行為をしてから殺害」のスリル…あまりにも身勝手な主張【死刑執行】
NEWSポストセブン
失言後に記者会見を開いた自民党の鶴保庸介氏(時事通信フォト)
「運のいいことに…」「卒業証書チラ見せ」…失言や騒動で謝罪した政治家たちの実例に学ぶ“やっちゃいけない謝り方”
NEWSポストセブン
球種構成に明らかな変化が(時事通信フォト)
大谷翔平の前半戦の投球「直球が6割超」で見えた“最強の進化”、しかしメジャーでは“フォーシームが決め球”の選手はおらず、組み立てを試行錯誤している段階か
週刊ポスト
参議院選挙に向けてある動きが起こっている(時事通信フォト)
《“参政党ブーム”で割れる歌舞伎町》「俺は彼らに賭けますよ」(ホスト)vs.「トー横の希望と参政党は真逆の存在」(トー横キッズ)取材で見えた若者のリアルな政治意識とは
NEWSポストセブン
ベビーシッターに加えてチャイルドマインダーの資格も取得(横澤夏子公式インスタグラムより)
芸人・横澤夏子の「婚活」で学んだ“ママの人間関係構築術”「スーパー&パークを話のタネに」「LINE IDは減るもんじゃない」
NEWSポストセブン
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン
モンゴル滞在を終えて帰国された雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、戦後80年の“かつてないほどの公務の連続”で体調は極限に近い状態か 夏の3度の静養に愛子さまが同行、スケジュールは美智子さまへの配慮も 
女性セブン
場所前には苦悩も明かしていた新横綱・大の里
新横綱・大の里、場所前に明かしていた苦悩と覚悟 苦手の名古屋場所は「唯一無二の横綱」への起点場所となるか
週刊ポスト
医療的ケア児の娘を殺害した母親の公判が行われた(左はイメージ/Getty、右は福岡地裁)
24時間介護が必要な「医療的ケア児の娘」を殺害…無理心中を計った母親の“心の線”を切った「夫の何気ない言葉」【判決・執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン