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プレミアム商品券 本来節約のためのものでなく富裕層散財用

 安倍政権が掲げる「地方創生」政策の目玉である「プレミアム商品券」。1万円で1万2000円分の商品券が購入できるというように、プレミアム分を上乗せしているのが特徴だ。だが、本当に地方創生に役立っているのか、という声もある。

 大手量販店でプレミアム商品券が使われているケースは多く、静岡県吉田町では、消費された商品券の70%以上がスーパーやドラッグストアなどの量販店で使われていたという。

 これでは商店街がうるおわない、との文句も出るが、経済アナリストの池田健三郎氏は、「そもそもプレミアム商品券の本来の目的が誤解されている」という。

「プレミアム商品券は、トイレットペーパーや米、味噌など、節約目的で日用品を買うために使われたのでは、まったく経済効果がない。商品券の印刷代、商工会議所の人件費などが無駄になるだけです。

 プレミアム商品券の本来の目的は、普段はしないようなぜいたく支出やレジャーなどに使われないと経済効果は生まれません。普段行かない人にキャバクラで使ってもらうほうがよっぽど地方創生に役立ちます」

 つまり、プレミアム商品券は、商店街の小売店を救うものでも庶民が生活の足しにするものでもなく、富裕層が散財することで経済効果が出る、という代物だったのだ。

 それでも、プレミアム商品券目当てに長蛇の列ができるなど、各地で争奪バトルが起きている。一連の混乱ぶりを見て、9月から商品券が発売される自治体の住民たちは不安を抱いている。兵庫県明石市在住の主婦(60)がため息をつく。

「神戸市では販売が午前10時からなのに、前日の昼から行列ができ始め、午前4時過ぎには整理券の配布が終了。販売開始予定時刻に来た人が大騒ぎして、パトカーが駆けつけたという記事が地元紙に出ていました。近所の人との話題といえば『何時から並べばいいのかしら』という不安ばかり」

 プレミアム商品券が地方に創生したのは、いまのところ“混乱”だけのようだ。

※週刊ポスト2015年9月11日号

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