全国で車中泊をしているわさびちゃん夫婦。夫は元お笑い芸人のピーチキス・けん。
キャンプ動画を上げるYouTuberは多かれど、女性のトイレ事情に踏み込んだものはなかなかない。そうしたなか、YouTubeチャンネル『TABIBANANA ~やってみる夫婦~』のわさびちゃん(37)は、キャンプや車中泊などでのリアルなトイレ事情を紹介し、一気にブレイクした。
そうはいっても、ブレイクするまでには紆余曲折があった。キャンペーンガールや芸人を経て始動したYouTubeでは、当初貧乏旅行や古民家暮らしでのDIYなど、等身大のライフスタイルを発信してきた。ただその背景には、確固たる信念がある。YouTubeでバズるまでの道のりを追った。【全3回の第1回】
キャンペーンガールから芸人へ
──芸能活動をしようと思ったきっかけを教えてください。
わさびちゃん:子供の頃から学級委員や人前で何かを説明するような役をよく頼まれていて、結構それが得意だったんです。だから将来は何かを紹介するような仕事ができたらいいなと思っていて、ラジオパーソナリティとか、MC業に憧れがありました。
──歌いたいとか、踊りたいとかではなくて。
わさびちゃん:“私を見て”という意識は全くなく、何かを「見せたい」側なんです。展示会でマイクを握って、「この最新の洗濯機が~」とか言ってるお姉さんを見て、「これだ!」と思い、大学を卒業してキャンギャルになりました。
ヒール履いて、フリスクガールとかやってたんですけど、紹介は全部台本があるんですよね。私は自分の体験談を話せるのかとばかり思い込んでいて……無知でした。
──あくまでも自分の言葉での発信にこだわりたかったんですね。
わさびちゃん:そうです。ただ、キャンギャル時代にすごく教育してもらえたことには、本当に感謝しています。
キャンギャルって、大企業の方や代理店の方たちとチームで動くので、社会性も求められるし、話もしっかりできないといけない。自分勝手じゃダメで、たとえば、自分の髪の巻きばっかり気にするような姿勢だとお話にならない。
ビジネスの流れとか、自分の役割とか、キャンギャルを経験したからこそ身についたことは多かったなと思います。
キャンギャル、地下アイドルを経て芸人になったわさびちゃん
──キャンギャルの後は何を?
わさびちゃん:ご縁があって、ラジオのパーソナリティのオーディションを受けたら合格した……のはいいんですけど、それが地下アイドルのオーディションも兼ねていたという。
──地下アイドルとの兼任ですか?
わさびちゃん:そうなんです。高島屋の屋上で、ライブとセットで警視庁のオレオレ詐欺対策の啓発をするような仕事をしていました。
それなりにやりがいはあったんですけど、衝撃だったのが、バレンタインライブの時のこと。他のメンバーは皆、ファンの人たちにチョコを作ってきていたんです。「そういうふうに自分を売りこんで、ファンを作っていかなくちゃいけないんだ!」とびっくりで、これは私には無理な世界だなと。
──チョコを人にオススメするような仕事はしたくても。
わさびちゃん:まさにそういうことですね。そういう時にテレビを見ていて、タレントさんや芸人さんならもう少し自由に「このお団子うまいんですよ」って、自分らしいリポートができるんじゃないかと思ったんです。
そこで同じ事務所にいた子を誘って、2人でお笑いコンビを組みました」