7月26日に開かれた国際女性ビジネス会議では、安倍首相が霞が関で導入した「ゆう活」(仕事の開始時間を早めて夕方からオフを楽しむ生活)について、公務を早めに切り上げて、「秘書官らと上野の美術館で絵画を鑑賞した後、近くの定食屋で晩酌を楽しんだ」というエピソードを披露した。
するとその後に登壇した野田氏は、「ゆう活に参加できない人たちがいる。それは子育てしている女性たちだ」と正面から切り込み、安倍首相を挑発するようなこんな発言も飛び出した。
「これからのリーダーは強いリーダーではない。多様性とは自分が受け入れられない、嫌だと思っている人たちも受容する力なんです。力強いリーダーはややもすると独裁してしまう」
野田氏の講演時にはすでに安倍首相は退席していたが、総裁選のテレビ党論でこれをやられると、ムキになって横綱相撲どころではなくなるかもしれない。
だが総裁選を避けたい理由はそれだけではなさそうだ。前述のように、党員投票が実施されると各地で討論会が組まれるため、ハードな日程をこなさなければならない。
自民党役員会(8月24日)では『週刊文春』が報じた「吐血報道」を「血を吐く思いで頑張っています」とジョークを交えて否定してみせた安倍首相だが、永田町では首相の体調不安説が消えない。官邸の側近たちの間では、「残暑の中、総理を全国の討論会に回らせて余計な神経と体力を使わせることは避けるべきだというのが無投票再選に走る大きな理由だ」という。
※週刊ポスト2015年9月11日号