国内

松野頼久氏唱える野党再編 民主戻れば維新支持者への裏切り

 維新の党が事実上、分裂状態になった。松野頼久代表は野党再編を唱えているが、政策を棚上げした再編はただの「野合」にすぎない。どういう形であれ、民主党と合流したところで、また分裂するのが関の山ではないか。

 もともと松野代表は民主も維新もその他の野党も「みんな、いったん解党して新しい野党を作る」というのが持論だった。先の総選挙で自身が小選挙区で落選し、比例九州ブロックで復活当選しているので公職選挙法上、党を存続させたまま民主党に移籍できないという事情がある。

 だがこうなった以上、民主がうまうまとそんな話に乗るとも思えない。自分の党だけならいざ知らず、他党の解党にまで口出しするセンスがどうかしているのだ。

 もっと根本的な問題もある。松野代表や柿沢未途幹事長らは肝心の政策で民主党と本当に一緒にやれると思っているのだろうか。

 たとえば、安全保障関連法案をめぐって維新は曲がりなりにも対案を出した。だが、民主党は「安倍晋三政権が進める集団的自衛権行使には反対」「新3要件も武力行使の歯止めにならない」と断固反対の立場を徹底している。

 経済政策をめぐっても、維新は成長重視だが、民主は格差是正(=所得再分配)重視である。枝野幸男幹事長は著書で「もはや成長は幻想だ」とまで言っている。そんな左派が牛耳る民主党と合流しようというのは、自分を当選させてくれた維新支持者への裏切りである。

 問題の発端は、柿沢幹事長が山形市長選で民主、共産、社民、生活の4党が推薦する候補を応援したことだった。私には「野党再編」という旗のために政治信条まで捨て去ったかのように見える。「再編が最優先で政策は二の次」という形ばかりの再編がなったとしても、国民は底を見透かすに違いない。

■文・長谷川幸洋(はせがわ・ゆきひろ):東京新聞・中日新聞論説副主幹。1953年生まれ。ジョンズ・ホプキンス大学大学院卒。規制改革会議委員。近著に『2020年新聞は生き残れるか』(講談社)

※週刊ポスト2015年9月18日号

関連記事

トピックス

除名されたガーシー氏(時事通信フォト・旧NHK党)
《77歳オカンへの愛》ガーシー容疑者、実家ガサ入れに号泣配信「お母さんに会いたい……」「産んでくれておおきに」深い親子関係
NEWSポストセブン
角谷アナにA氏との関係を聞くと「ちょっと急いでまして、すみません」と回答
【入手】結婚のテレ東・角谷暁子アナが友人だけに「イケメンマッチョな旦那写真」を公開していた「生きてこられて幸せです」
NEWSポストセブン
腰をくねらせる筧美和子(2023年1月撮影)
筧美和子が腰をくねらせ道路に倒れ込む…映画『静かなるドン』ホテル街での撮影現場で見せた妖艶シーン
NEWSポストセブン
スマホで電話をかける藤木直人
藤木直人、大東駿介、片桐仁が名門私立幼稚園の舞台にサプライズ出演 「100万円稼ぐ」の言葉に保護者感動
NEWSポストセブン
欲望渦巻く街で行なわれていた狡猾な手口(時事通信フォト)
「テキーラで脱衣ゲーム」「登録者400万人超YouTuberをダシに」摘発された歌舞伎町ぼったくりバー元店員が語った手口
NEWSポストセブン
別居していることがわかった篠田麻里子
《離婚発表》元夫はなぜ篠田麻里子の「言葉を信じる」ことになったのか 不倫疑惑に「悪いことはしていない」
NEWSポストセブン
貴重な証言を得た高橋氏(時事通信フォト)
【山口連続殺人放火事件】5人殺害の犯人と別に「つけ火した悪いやつがいた」村人の証言
NEWSポストセブン
貴景勝
ついに「大関ゼロ」に現実味 「公傷制度の復活」ほかガチンコ時代に必要な相撲改革とは
NEWSポストセブン
行方不明になった隼都さん
《壱岐市高校生が遺体で発見》虐待疑惑の里親を「みんなで支える」教育長の聞き取りに複数の実親が出していた答え
NEWSポストセブン
スッキリ休んで躍進に備える?(写真/ロケットパンチ)
日テレ・岩田絵里奈アナ『スッキリ』終了でも「秋の改編」で期待される「岩田無双」
週刊ポスト
14年ぶり世界一に日本中が歓喜した
【侍ジャパン】次期監督、工藤公康が有力候補も「消極的」か 3年後の世界一に相応しいのは?
NEWSポストセブン
ベンチで存在感をはなつ城石(時事通信フォト)
《WBCベンチで存在感》栗山監督の横にいるイケメン参謀コーチは「フリーターからプロ入り」異色経歴と元妻は人気女子アナ
NEWSポストセブン