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ヤクルト・館山 怪我が多いのは怪我のリスクに躊躇ないから

3度のトミー・ジョン手術を経験した館山昌平

 不死身のサイドスローが、神宮球場のマウンドに帰ってきた──。右肘靭帯断裂の大怪我から2シーズンぶりに復帰した東京ヤクルトスワローズの館山昌平(34)が、7月11日の横浜DeNA戦で見事に勝利。2012年9月25日の阪神戦以来、実に1019日ぶりの白星をマークした。

「久々の勝利ですが、『この日のためにやって来たんだ』といった特別な感慨は湧いてきませんでした。リハビリ中は、とにかくマウンドに戻ることを目標にしてきたので、(6月28日の)復帰戦の時の方が『帰って来たぞ』という実感がありました」(館山)

 館山の野球人生は怪我との戦いと言い換えてもいい。これまでに、トミー・ジョン手術と呼ばれる肘の靭帯再建術を3度も経験。その他に、肩関節、股関節など7度も身体にメスを入れ、全身には151針の傷跡が残っている。

 度重なる故障から必ず甦る生き様は、賞賛に値する。しかし、なぜ館山はこれほどまで怪我に見舞われてしまうのか。それは、彼が怪我のリスクに対して一切の躊躇がないからだ。

「プロに入ってからは、できるだけ怪我をしないように投球する選択肢もあったと思います。でも僕は、その道には進まなかった。それでは僕の実力では戦えなかったからです。怪我をするリスクはあるけど、打者を抑える確率を少しでも上げる方法を選択してきました。威力あるストレートを投げるために、全力で腕を振る。変化球の精度にも妥協しない。(靭帯が)いつ切れてもいい覚悟で投げてきました」(同前)

取材・文■田中周治 撮影■藤岡雅樹

※週刊ポスト2015年9月18日号

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