経産B:うちが中国と通じているような言い方は心外。総理ご自身が日中首脳会談に前向きになっていた。しかし、その訪中に強硬に反対したのが斎木昭隆・外務事務次官だ。
外務C:当然です。官邸の一部では、総理が訪中する際に盧溝橋(抗日戦争記念館)まで足を延ばすことまで検討されていた。この7月から新たに反日展示を集めた企画展までやっている場所じゃないですか。
──安倍首相が本気でそこまで考えていたのか。
外務C:本気でそれをやらせようとした人がいる。親中派は喝采を送るかもしれないが、状況次第では中国側に利用されるか、逆に反発を招くか、外交的リスクが大きすぎる。
中国が祝賀式典で軍事力を誇示する意図があったのは明らかで、米、英、仏、独など西側の首脳は出席を断わった。だから斎木次官は「戦勝記念日の訪中は米国が納得しない」と身を挺して安倍総理に訪中を思いとどまらせた。その行為は評価されるべきです。
経産B:そもそも外務省が何の外交成果もあげないから、官邸で総理を支える今井さんとしては、電撃訪中をセットして支持率挽回の機会をつくらなければならなかったのではないか。
●司会・レポート/武冨薫(ジャーナリスト)
※週刊ポスト2015年9月18日号