「当時は名古屋限定でビジネスを始めるつもりだったので、“全国統一”という言葉は正直ピンときませんでした。相談に来たのが無駄だったとさえ思ったほどです」
だが、それから10年後、沖氏の予言は現実となる。
「北海道から沖縄までクライアントが全国に広がるビジネスに参画することになり、年商は一気に7倍になりました。30代の頃は鳴かず飛ばずだったのに、沖先生の言葉通り、全国展開したら道が開けた。そこで初めて、沖先生の慧眼を知った」
成功の足がかりを築いたA氏はさらに事業を拡大していった。この25年間を振り返り、A氏は「沖先生という存在が心の奥にあることが大きい」と何度も繰り返す。
A氏のように沖氏にすがる大物は少なくない。彼らはどうして、彼女を頼るのか。その謎を普段は公の場に姿を現わすことのない沖氏に聞いた。
「本来、人間は皆悩みを抱えているものです。しかし、経営者など社会的な地位が高くなると周囲に相談できる人が少なくなる。彼らは考え抜いた上で私のところに相談に来る。きっと彼らは自分なりの答えをしっかり持っているんです。その“保証”を私にしてほしいのでしょう。彼らには実行力がありますから、私は少しだけアドバイスをすれば十分なんです。
また最近は子供や孫に後を継がせたいから姓名判断してほしいといった依頼も少なくありません」
※週刊ポスト2015年10月16・23日号