ビジネス

傾斜マンション問題 丸投げされた杭打ち工事は依然闇だらけ

会見で涙も見せた旭化成の浅野敏雄社長

 横浜市都筑区の“傾斜マンション”が大きな問題に発展する中、10月20日、杜撰な杭打ちの基礎工事が発覚した旭化成建材と、その親会社の旭化成トップらが初めて公に謝罪会見を開いた。

 午後4時から開かれた東京都千代田区の会見場は、用意された200席があっという間に満席状態に。その他、椅子に座れない記者や各メディアのカメラマンも含めると300名以上の報道陣が押し寄せる中、およそ2時間にわたり続いた。

「私どもにこれまでいただいた信頼に感謝申し上げるとともに、今回の出来事に対しては、本当に、本当に、深く反省し……」

 旭化成の浅野敏雄社長が、こう声を詰まらせる一幕もあったが、肝心の真相究明については、「詳しいことは調査中」と繰り返すばかりで、結局、新たな報告は出ずじまいだった。

 今後、内部・外部を含めた調査委員会を通じて、問題マンション(パークシティLaLa横浜)の杭調査ならびに、過去10年間施工してきた他物件の強度データ3000件も見直し、記録の不備や改ざん等が見つかれば、「居住者の安全・安心を最優先に進め、誠心誠意対応させていただく」(平居正仁・旭化成副社長)構えだという。

 もちろん、基礎工事のみならず、「ヘーベルハウス」や都市型マンション「ATLAS(アトラス)など、旭化成の住宅ブランド全体に広がる不信感を払拭するためには徹底した再調査は必要だろう。

 しかし、どうも腑に落ちないのは、当サイトでも報じたように記録データのチェックや保存体制を含め、旭化成グループ全体に蔓延していたかもしれない「組織的な責任」の検証が後回しになっていることだ。

 パークシティでも問題発覚当初から、旭化成建材の前田富弘社長が杭打ち現場に立ち会った“現場代理人”なる人物の存在を挙げ、「悪意を持って施工不良を隠そうとした」と明らかにした。そして、その人物に何と20時間以上に及ぶ聞き取り調査をしている。平居副社長も会見で、

「実際に旭化成グループが手掛けた他の物件で傾いている住宅はないし、当該マンションでも彼が関わった棟以外でデータが紛失したり転用されたりした形跡はない」

 と断言したが、同氏が証言したとされる「(記録用紙の)紙切れ」「荒天による破損」「計測器のスイッチ入れ忘れ」「病欠時の引き継ぎが不十分」といった理由は、あまりにもお粗末な理由だ。もし、それが本当だとしたら、マンションの根幹を成す基礎工事のチェック体制が全く機能していなかったことの裏返しにもなろう。

関連記事

トピックス

出廷した水原一平被告(共同通信フォト)
《水原一平を待ち続ける》最愛の妻・Aさんが“引っ越し”、夫婦で住んでいた「プール付きマンション」を解約…「一平さんしか家族がいない」明かされていた一途な思い
NEWSポストセブン
公務に臨まれるたびに、そのファッションが注目を集める秋篠宮家の次女・佳子さま(共同通信社)
「スタイリストはいないの?」秋篠宮家・佳子さまがお召しになった“クッキリ服”に賛否、世界各地のSNSやウェブサイトで反響広まる
NEWSポストセブン
舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』でハリー・ポッター役を演じる稲垣吾郎
舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』に出演、稲垣吾郎インタビュー「これまでの舞台とは景色が違いました」 
女性セブン
司組長が到着した。傘をさすのは竹内照明・弘道会会長だ
「110年の山口組の歴史に汚点を残すのでは…」山口組・司忍組長、竹内照明若頭が狙う“総本部奪還作戦”【警察は「壊滅まで解除はない」と強硬姿勢】
NEWSポストセブン
麻薬取締法違反容疑で家宅捜査を受けた米倉涼子
「8月が終わる…」米倉涼子が家宅捜索後に公式SNSで限定公開していたファンへの“ラストメッセージ”《FC会員が証言》
NEWSポストセブン
巨人を引退した長野久義、妻でテレビ朝日アナウンサーの下平さやか(左・時事通信フォト)
《結婚10年目に引退》巨人・長野久義、12歳年上妻のテレ朝・下平さやかアナが明かしていた夫への“不満” 「写真を断られて」
NEWSポストセブン
バスツアーを完遂したイボニー・ブルー(インスタグラムより)
《新入生をターゲットに…》「60人くらいと寝た」金髪美人インフルエンサー(26)、イギリスの大学めぐるバスツアーの海外進出に意欲
NEWSポストセブン
大谷が購入したハワイの別荘の広告が消えた(共同通信)
【ハワイ別荘・泥沼訴訟に新展開】「大谷翔平があんたを訴えるぞ!と脅しを…」原告女性が「代理人・バレロ氏の横暴」を主張、「真美子さんと愛娘の存在」で変化か
NEWSポストセブン
小林夢果、川崎春花、阿部未悠
トリプルボギー不倫騒動のシード権争いに明暗 シーズン終盤で阿部未悠のみが圏内、川崎春花と小林夢果に残された希望は“一発逆転優勝”
週刊ポスト
「第72回日本伝統工芸展京都展」を視察された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年10月10日、撮影/JMPA)
《京都ではんなりファッション》佳子さま、シンプルなアイボリーのセットアップに華やかさをプラス 和柄のスカーフは室町時代から続く京都の老舗ブランド
NEWSポストセブン
部下と“ラブホ密会”が報じられた前橋市の小川晶市長(左・時事通信フォト)
《黒縁メガネで笑顔を浮かべ…“ラブホ通い詰め動画”が存在》前橋市長の「釈明会見」に止まぬ困惑と批判の声、市関係者は「動画を見た人は彼女の説明に違和感を持っている」
NEWSポストセブン
国民スポーツ大会の総合閉会式に出席された佳子さま(10月8日撮影、共同通信社)
《“クッキリ服”に心配の声》佳子さまの“際立ちファッション”をモード誌スタイリストが解説「由緒あるブランドをフレッシュに着こなして」
NEWSポストセブン