──今年9月に成立した改正マイナンバー法で預金口座への適用が決まりました。
高須:個人のお金の流れがある程度把握されちゃうということだから、所得隠しなんかはできなくなるんだよ。単純に税収が増えて国としては大喜びだろうね。裏を返せば、マイナンバーに反対している人のなかには、所得を隠して税金をごまかしている人も多いってことだと思うよ。ちなみに、僕はあらゆるものをガラス張りにしているから、マイナンバー制度には大賛成だよ(笑い)。そういえば、安保法制に反対するデモは多かったけど、マイナンバー反対デモはあったの?
──多少あったようですが、反安保デモに比べるとそれほど目立っていないですね。
高須:マイナンバーこそが徴兵制度をスムーズにするものなんだから、こっちに反対するデモをもっとやったほうがいいんじゃないの?って思っちゃうけどね(笑い)。というよりも、よくこのマイナンバー制度がスルスルっと始まったなぁ、って思う。確かに前々から議論が必要だったといわれていたけど、安保法制のゴタゴタの裏で、気づいたら制度開始だもんな。
そう考えると、安倍政権としては安保法制よりも、マイナンバー制度のほうが本命だったのかもしれないね。安保法制のおかげで、マイナンバーから世間の目を逸らすことができた、というか。
実際、安保法制は反対派が言うほど大した内容ではないからね。普通の国と同じレベルになるだけだから。でも、マイナンバーのほうは税収を上げるという意味ではものすごく大きい。国民に影響があるのもマイナンバーのほうだし、さらに言えば安保法制よりも国民に対するデメリットは大きいわけだよ。それをあまり騒がれずに、ここまでもってきた安倍さんは、上手いことやったよなぁ。
* * *
安倍政権としてはマイナンバー制度こそが本命で、安保法制はいわば身代わりのようなものだったとの説を唱えた高須院長。国民の生活に直結するのはマイナンバー制度のほうであり、こちらの反対運動が盛り上がっていたら、安倍政権の支持率もかなり低下していた可能性は否めない。そういう意味では、確かに安倍首相は策士だったのかもしれない。
【プロフィール】
高須克弥(たかすかつや):1945年愛知県生まれ。医学博士。昭和大学医学部卒業、同大学院医学研究科博士課程修了。大学院在学中から海外へ(イタリアやドイツ)研修に行き、最新の美容外科技術を学ぶ。脂肪吸引手術をはじめ、世界の最新美容外科技術を日本に数多く紹介。
昭和大学医学部形成外科学客員教授。医療法人社団福祉会高須病院理事長。高須クリニック院長。人脈は芸能界、財界、政界と多岐にわたり幅広い。金色有功章、紺綬褒章を受章。『ブスの壁』(新潮社、西原理恵子との共著)、『その健康法では「早死に」する!』(扶桑社)など。最新刊は『筋と義理を通せば人生はうまくいく』(宝島社)。