ライフ

鎌田實 今年のノーベル賞作家の凄みと日本に与える意味語る

 ノーベル賞の季節になると、村上春樹の文学賞受賞を待つファンの様子が報道されるのが恒例となりつつあるが、今年の受賞者はベラルーシの作家でジャーナリストのスベトラーナ・アレクシエービッチ氏だった。12年前に彼女が来日したとき、対談した長野県の諏訪中央病院名誉院長・鎌田實医師が、アレクシエービッチ氏との思い出を綴った。

 * * *
 今年のノーベル賞発表は盛り上がった。医学生理学賞に大村智さん、物理学賞に梶田隆章さんと、立て続けに日本人の受賞が発表された。ここぞとばかり、日本人、日本人と騒ぎ立てるのは子どもっぽいが、日本人研究者の層の厚さにやっぱり誇らしい気持ちになった。

 一方、毎年、ノーベル文学賞に期待されている村上春樹さんは受賞ならず。ぼくも村上ファンなので、受賞したらいいなと毎年、心の中で応援してきた。ただし、マスコミもファンも勝手に盛り上がっては落胆。本人にとってはいい迷惑だろう。

 今年も多くのハルキストが落胆のため息をついたとき、ぼくは「やった!」と叫んだ。というのも、村上春樹以上に期待していた作家スベトラーナ・アレクシエービッチが受賞したからだ。

 ぼくは数年前から、アレクシエービッチがノーベル文学賞を受賞したらいいなと思い、発表の日が近くなると、ブログ「八ヶ岳山麓日記」にアレクシエービッチのことを書いてきた。迫害を受け続けても負けない作家だ。今年も発表前日に「受賞はアレクシエービッチ」と予想を書いた。それだけに今回の彼女の受賞はうれしかった。

 アレクシエービッチはベラルーシの作家である。日本ではあまり知られていないかもしれないが、『戦争は女の顔をしていない』『ボタン穴から見た戦争』『アフガン帰還兵の証言』など優れた作品を発表している。

 2003年に来日したとき、松本市で対談する機会を得た。ぼくが理事長をしている日本チェルノブイリ連帯基金が資金集めのため、有料の講演会をした。

関連記事

トピックス

亡くなったことがわかったシャニさん(本人のSNSより)
《ボーイフレンドも毒牙に…》ハマスに半裸で連行された22歳女性の死亡が確認「男女見境ない」暴力の地獄絵図
NEWSポストセブン
長男・正吾の応援に来た清原和博氏
清原和博氏、慶大野球部の長男をネット裏で応援でも“ファン対応なし” 息子にとって雑音にならないように…の親心か
週刊ポスト
殺害された谷名さんの息子Aさん
【青森密閉殺人】手足縛りプラスチック容器に閉じ込め生きたまま放置…被害者息子が声を絞り出す監禁の瞬間「シングルで育ててくれた大切な父でした」
NEWSポストセブン
竹内涼真と
「めちゃくちゃつまんない」「10万円払わせた」エスカレートする私生活暴露に竹内涼真が戦々恐々か 妹・たけうちほのかがバラエティーで活躍中
女性セブン
史上最速Vを決めた大の里(時事通信フォト)
史上最速V・大の里に問われる真価 日体大OBに囲まれた二所ノ関部屋で実力を伸ばすも、大先輩・中村親方が独立後“重し”が消えた時にどうなるか
NEWSポストセブン
2050年には海洋プラスチックごみが魚の量を上回ると予測されている(写真/PIXTA)
「マイクロプラスチックが心臓発作や脳卒中の原因になりうる」との論文発表 粒子そのものが健康を害する可能性
女性セブン
攻撃面では試行錯誤が続く今年の巨人(阿部慎之助・監督)
広岡達朗氏が不振の巨人打線に喝「三振しても威張って戻ってくるようなのが4番を打っている」 阿部監督の采配は評価するも起用法には苦言
週刊ポスト
大谷が購入した豪邸(ロサンゼルス・タイムス電子版より)
大谷翔平がロスに12億円豪邸を購入、25億円別荘に続く大きな買い物も「意外と堅実」「家族思い」と好感度アップ 水原騒動後の“変化”も影響
NEWSポストセブン
杉咲花
【全文公開】杉咲花、『アンメット』で共演中の若葉竜也と熱愛 自宅から“時差出勤”、現場以外で会っていることは「公然の秘密」
女性セブン
被害者の渡邉華蓮さん
【関西外大女子大生刺殺】お嬢様学校に通った被害者「目が大きくてめんこい子」「成績は常にクラス1位か2位」突然の訃報に悲しみ広がる地元
NEWSポストセブン
京急蒲田駅が「京急蒲タコハイ駅」に
『京急蒲タコハイ駅』にNPO法人が「公共性を完全に無視」と抗議 サントリーは「真摯に受け止め対応」と装飾撤去を認めて駅広告を縮小
NEWSポストセブン
阿部慎之助・監督は原辰徳・前監督と何が違う?(右写真=時事通信フォト)
広岡達朗氏が巨人・阿部監督にエール「まだ1年坊主だが、原よりは数段いいよ」 正捕手復帰の小林誠司について「もっと上手に教えたらもっと結果が出る」
週刊ポスト