ビジネス

自動運転車の普及 警察OB天下り先の利権確保が障壁となるか

 2015年東京モーターショーで、もっともメディアが注目して取り上げたのが「自動運転」だった。しかし、5年後に日本の公道を自動運転車が走行するのは難しいと経営コンサルタントの大前研一氏は分析する。なぜ難しいのか、技術やニーズ、社会への影響について大前氏が解説する。

 * * *
 今年の東京モーターショーの目玉は「自動運転車」だった。日本勢ではトヨタ、日産、ホンダ、三菱、スバルが開発にしのぎを削り、各社とも東京五輪が開催される2020年の実用化を目標にしているという。だが、現実問題として、5年後に日本で自動運転車が普及して公道を走行するのは非常に難しいのではないかと思う。

 そう考える理由は三つある。一つ目は技術的な課題である。たとえば、三菱電機はGPS(全地球測位システム)衛星よりも高精度の位置情報(誤差10cm未満)が得られる準天頂衛星を使った自動運転の試作車を公開した。しかし、衛星とのやりとりは未だに不安定だ。

 私は学長を務める「BBT(ビジネス・ブレークスルー)大学」の毎週日曜日夜のライブ講義を衛星放送「スカパー!」で1998年から17年間続けているが、雷やゲリラ豪雨、吹雪などの悪天候時に衛星とのリンクが切れることが多い。もし、自動運転中にリンクが切れたらどうなるのか? これは恐怖の物語だ。トンネル内での事故時も含め自動運転で衛星に頼りすぎるのはリスクが大きいと思う。

 二つ目は、現在想定されている自動運転は本当に人々が必要としているものなのかどうか、という問題だ。

 自動運転のプログラムは道路交通法に則って作られるはずだから、渋滞時の高速道路のようにハンドルを握っていることも面倒くさい状況ならともかく、たとえば制限速度が時速80kmのところで他の車がみんな100km出していても80kmをきちんと守り、車間距離も道交法が定める安全性を確保しようとするから、フラストレーションがたまることは間違いない。出来の悪い息子の成績を見ているようなものである。
 
 そこで自動運転から簡単に人間の運転に切り替えることができたら、誰の責任で運転しているのかわからなくなる。

関連記事

トピックス

9月に成年式を控える悠仁さま(2025年4月、茨城県つくば市。撮影/JMPA)
悠仁さまが学園祭にご参加、裏方として“不思議な飲み物”を販売 女性グループからの撮影リクエストにピースサイン、宮内庁関係者は“会いに行ける皇族化”を懸念 
女性セブン
V9伝説を振り返った長嶋茂雄さんのロングインタビューを再録
【長嶋茂雄さんロングインタビュー特別再録】永久不滅のV9伝説「あの頃は試合をしていても負ける気がしなかった。やっていた本人が言うんだから間違いないよ」
週刊ポスト
山尾志桜里氏(=左。時事通信フォト)と望月衣塑子記者
山尾志桜里氏“公認取り消し問題”に望月衣塑子記者が国民民主党・玉木代表を猛批判「自分で出馬を誘っておいて、国民受けが良くないと即切り捨てる」
週刊ポスト
“超ミニ丈”のテニスウェア姿を披露した園田選手(本人インスタグラムより)
《けしからん恵体で注目》プロテニス選手・園田彩乃「ほしい物リスト」に並ぶ生々しい高単価商品の数々…初のファンミ価格は強気のお値段
NEWSポストセブン
オンラインカジノを利用していたことが判明した山本賢太アナウンサー(ホームページより)
フジテレビ・山本賢太アナのオンラインカジノ問題で懸念される“局内汚染”「中居氏の問題もあるなかで弱り目に祟り目のダメージになる」
週刊ポスト
「〈ゆりかご〉出身の全員が、幸せを感じて生きられるのが理想です。」
「自分は捨てられたと思うのは簡単。でも…」赤ちゃんポスト第1号・宮津航一さん(21)が「ゆりかごは《子どもの捨て場所》じゃない」と思う“理由”
NEWSポストセブン
都内の人気カフェで目撃された田中将大&里田まい夫妻(時事通信フォト/HPより))
《ファーム暮らしの夫と妻・里田まい》巨人・田中将大が人気カフェデートで見せた束の間の微笑…日米通算200勝を目前に「1軍から声が掛からない事情」
NEWSポストセブン
浅草・浅草寺で撮影された台湾人観光客の写真が物議を醸している(Xより)
「私に群がる日本のファンたち…」浅草・台湾人観光客の“#羞恥任務”が物議、ITジャーナリスト解説「炎上も計算の内かもしれません」
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問されている秋篠宮家の次女・佳子さま(時事通信フォト)
《スヤスヤ寝顔動画で話題の佳子さま》「メイクは引き算くらいがちょうどよいのでは…」ブラジル訪問の“まるでファッションショー”な日替わり衣装、専門家がワンポイントアドバイス【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
2013年大阪桐蔭の春夏甲子園出場に主力として貢献した福森大翔(本人提供)
【10万人に6例未満のがんと闘う甲子園のスター】絶望を支える妻の献身「私が治すから大丈夫」オリックス・森友哉、元阪神・西岡や岩田も応援
NEWSポストセブン
ブラジル公式訪問中の佳子さま(時事通信フォト)
《佳子さまの寝顔がSNSで拡散》「本当に美しくて、まるで人形みたい」の声も 識者が解説する佳子さま“現地フィーバー”のワケ
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 食卓を汚染する「危ない輸入冷凍食品」の闇ほか
「週刊ポスト」本日発売! 食卓を汚染する「危ない輸入冷凍食品」の闇ほか
NEWSポストセブン