■「地上波がコンビニならBSは専門店」
こうした番組の傾向について前出の内堀氏は、「地上波がなんでも揃うコンビニなら、BSは専門店。音楽番組にしても、特定の歌手や歌を深く追求することができる。また、通常1時間の番組でも定期的に3時間、4時間、さらには5時間のスペシャル番組を組むこともある。つまりBSの音楽番組は日々、ちょっとした紅白歌合戦」とも指摘する。
またBSチャンネル「BS 12(トゥエルビ)」で音楽番組を手がけている放送作家でライターの若木康輔氏はこう証言する。
「地上波の放送では、フルコーラスをじっくり聴かせると、“長い”であるとか“退屈”と言われてしまいますが、BSではそちらのほうがむしろ喜ばれます。ラジオ局に例えれば、地上波の音楽番組は、わかりやすく言えばトーク主体のAMラジオ。それに対してBSの音楽番組は音楽メインのFMラジオといえるでしょう。つまりBS放送は地上波より積極的に『音楽を聴きに来る』お客さんが多いため、フルコーラスはかえって歓迎されるのです」
さらに、週28本の番組を見渡すと、なんと半分以上の16本が、早朝5時台の番組なのである(『サブちゃんと歌仲間』〈BSジャパン〉、『日本名曲ミニアルバム』〈BS-TBS〉、『演歌がええじゃん』〈BS12〉など)。これはやはり高齢者の起床時間に合わせての時間設定だろう。
「長時間でフルコーラス、またライフスタイルに合わせて早朝でも放送する。視聴者のニーズに応えて柔軟に番組編成を行えるBSの音楽番組はますます需要が高まると思います」(内堀氏)
歌の醍醐味、歌手の魅力をまるごと楽しめるBSの音楽番組。じっくり浸ってみてはいかがたろうか。
※主要BSチャンネル9局
NHK BS1、NHK BSプレミアム、BS日テレ(日本テレビ系列)、BS朝日(テレビ朝日)、BS-TBS(TBS系列)、BSジャパン(テレビ東京系列)、BSフジ(フジテレビ系列)、ビックカメラが出資しているBS11(イレブン)、三井物産の出資子会社「ワールド・ハイビジョン・チャンネル」が運営しているBS12 (トゥエルビ)