ライフ

脳の神経細胞 20歳を過ぎると1日10万個死滅し90歳では半減

 今や予備群も含めると860万人(2012年)、65歳以上の4人に1人が認知症とされる時代だ(厚労省推計)。10年後には1000万人を超える「認知症社会」の到来が予見されている。

 認知症の約7割を占めるアルツハイマー型は脳が徐々に萎縮し、記憶力や判断力が衰える病気だ。末期には話すことも食べ物を口から摂取することもできなくなる。現在のところ治療法もなければ、原因も不明である。

 だが、認知症はある日、突然、発症するのではない。認知症の“種”が脳内で育ち始めるのは発症のずっと前であり、そのメカニズムも近年、少しずつ明らかになっている。国家公務員共済組合連合会立川病院医長(脳神経外科)の福永篤志氏の話だ。

「人間の脳は幼少時で重量400グラムほど。それが男性なら20歳でピークの重量1350~1400グラムに達します。その後はゆっくりと減っていき、70~80歳でピーク時の約5~10%減少する。特に記憶や判断の機能を司る大脳の前頭葉や側頭葉は萎縮が激しく、20歳を過ぎると1日に10万個の神経細胞が死滅し、90歳でピーク時から半減すると言われています」

 側頭葉には新しい情報(見たり、聞いたりなど直近に経験したこと)を記憶として定着させる「海馬」という部位がある。一時的な記憶の貯蔵庫である海馬から重要な記憶は大脳に散らばって蓄積される。その振り分けられた情報を必要な時に引き出すのが前頭葉だ。認知症になると、この海馬の働きが低下することがわかっている。

 さらに30歳頃から「脳内老廃物(不要なタンパク質)」が脳内に蓄積し、脳の活動は低下する。40代に入ると、個人差はあるものの「白質病変」と呼ばれる“脳のシミ(老化)”も増えていく。これら加齢による脳の変質によっても、記憶力は衰えていく。

※週刊ポスト2015年12月11日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《佳子さまどアップ動画が話題》「『まぶしい』とか『神々しい』という印象」撮影者が振り返る “お声がけの衝撃”「手を伸ばせば届く距離」
NEWSポストセブン
池田被告と事故現場
《飲酒運転で19歳の女性受験生が死亡》懲役12年に遺族は「短すぎる…」容疑者男性(35)は「学校で目立つ存在」「BARでマジック披露」父親が語っていた“息子の素顔”
NEWSポストセブン
若隆景
序盤2敗の若隆景「大関獲り」のハードルはどこまで下がる? 協会に影響力残す琴風氏が「私は31勝で上がった」とコメントする理由 ロンドン公演を控え“唯一の希望”に
NEWSポストセブン
個別指導塾「スクールIE」の元教室長・石田親一容疑者(公式サイトより※現在は削除済み)
《15歳女子生徒にわいせつ》「普段から仲いいからやっちゃった」「エスカレートした」“やる気スイッチ”塾講師・石田親一容疑者が母親にしていた“トンデモ言い訳”
NEWSポストセブン
9月6日に悠仁さまの「成年式」が執り行われた(時事通信フォト)
【なぜこの写真が…!?】悠仁さま「成年式」めぐりフジテレビの解禁前写真“フライング放送”事件 スタッフの伝達ミスか 宮内庁とフジは「回答は控える」とコメント
週刊ポスト
交際が報じられた赤西仁と広瀬アリス
《赤西仁と広瀬アリスの海外デートを目撃》黒木メイサと5年間暮らした「ハワイ」で過ごす2人の“本気度”
NEWSポストセブン
世界選手権東京大会を観戦される佳子さまと悠仁さま(2025年9月16日、写真/時事通信フォト)
《世界陸上観戦でもご着用》佳子さま、お気に入りの水玉ワンピースの着回し術 青ジャケットとの合わせも定番
NEWSポストセブン
秋場所
「こんなことは初めてです…」秋場所の西花道に「溜席の着物美人」が登場! 薄手の着物になった理由は厳しい暑さと本人が明かす「汗が止まりませんでした」
NEWSポストセブン
『徹子の部屋』に月そ出演した藤井風(右・Xより)
《急接近》黒柳徹子が歌手・藤井風を招待した“行きつけ高級イタリアン”「40年交際したフランス人ピアニストとの共通点」
NEWSポストセブン
和紙で作られたイヤリングをお召しに(2025年9月14日、撮影/JMPA)
《スカートは9万9000円》佳子さま、セットアップをバラした見事な“着回しコーデ” 2日連続で2000円台の地元産イヤリングもお召しに 
NEWSポストセブン
世界的アスリートを狙った強盗事件が相次いでいる(時事通信フォト)
《イチロー氏も自宅侵入被害、弓子夫人が危機一髪》妻の真美子さんを強盗から守りたい…「自宅で撮った写真」に見える大谷翔平の“徹底的な”SNS危機管理と自宅警備体制
NEWSポストセブン
ウクライナ出身の女性イリーナ・ザルツカさん(23)がナイフで切りつけられて亡くなった(Instagramより)
《監視カメラが捉えた残忍な犯行》「刺された後、手で顔を覆い倒れた」戦火から逃れたウクライナ女性(23)米・無差別刺殺事件、トランプ大統領は「死刑以外の選択肢はない」
NEWSポストセブン